梅村さえこ-日本共産党党中央委委員・子どもの権利委員会副責任者
国会質問

質問日:2016年 3月 22日 第190国会 総務委員会

3年連続全会一致崩れる 共産党など反対 NHK予算案承認

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  NHKの2016年度予算案は22日、衆院総務委員会で採決され、日本共産党、民主党、維新の党、社民党が反対しましたが、自民党、公明党、おおさか維新の会が賛成して承認されました。籾井勝人会長が14年1月に就任して以降、3年連続で全会一致での賛成が得られない異常事態となりました。
  採決に先立ち、日本共産党の田村貴昭議員が反対討論に立ち、(1)籾井会長の発言への視聴者、国民の批判が高まっている(2)相次ぐ不祥事の全容解明と説明が尽くされていない(3)リスクの高い海外の営利事業に対する2億円の出資―などの問題点をあげ、「予算の承認にあたっては、予算の立案・執行における経営姿勢が問われる」とのべました。

 委員会の質疑で田村氏は、子会社におけるずさんな経理、職員の危険ドラッグ使用やタクシー乗車券の不正使用をはじめとした不祥事が続発する状況について、「予算審議の入り口に立てない異常事態」だと指摘。とくに、子会社「NHKアイテック」の社員が架空工事の発注で2億円を横領していた事件をあげ、「NHKを含め、営利主義に立っているからではないか」と、打開策を提示するよう求めました。

 NHKの井上樹彦理事は「コンプライアンスの徹底や指導監督の強化を図っていきたい」と答えました。

 梅村さえこ議員は、NHKの信頼回復に向けて「役員や全職員が公共放送のジャーナリストとしての自覚に立ち、視聴者・国民との間で緊張感を持つことが問われている」とのべた上で、籾井会長に対し「視聴者・国民の信頼を得ると言いながら、まっすぐ声を聞く改革が見えてこない」「視聴者から会長に意見を言う場がほしいという声にどう答えるのか」とただしました。

 また、梅村氏は過去最大規模となったNHK予算について、受信料負担軽減の検討や、国民生活センターに寄せられている受信料の契約時の強引なやり方を改めるよう要求。官民ファンドへの2億円の出資は「NHKが商業主義に踏み込むもの」だとして反対するとのべました。
 予算案は24日の衆院本会議にかけられる見通しです。

【「しんぶん赤旗」2016年3月23日付】

 

ー会議録ー

梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。
 日本共産党は、NHK予算の評価について、予算の内容とともに経営姿勢も問われると考えております。
 そこで、まず伺いたいと思います。
 籾井会長の現体制になっての不祥事の数々を、改めてここで確認させていただきたいと思います。

今井参考人 お答え申し上げます。
 お尋ねのNHK職員の不祥事案でございますが、横浜放送局の職員の職場内での窃盗事案、東京の記者がうその盗難被害の通報をした事案、放送文化研究所職員の酒気帯び運転、逮捕事案、旭川放送局の職員が窃盗容疑で逮捕された事案、平成二十六年五月に放送された「クローズアップ現代」で過剰な演出があったとされた事案、東京のアナウンサーが危険ドラッグの所持等で逮捕された事案、さいたま放送局の記者三人による業務用タクシー券の不正使用の事案。
 関連団体では、NHKアイテックの社員が出張旅費の不適切な経理処理をしていた事案、同じくNHKアイテックの社員二人が架空発注などの方法で約二億円を不正に受領していた事案、NHKインターナショナルの契約嘱託職員が危険ドラッグの輸入で逮捕された事案等でございます。
    〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕

梅村委員 この委員会でも繰り返し議論されてきましたけれども、やはり改めて、過去にないNHKをめぐる状況に今あるということだと思います。
 それで、籾井会長は先日の質疑で、不退転の決意で取り組んでまいりたいというふうに決意を表明されました。しかし、私は、この委員会で聞いておりましても、とりわけ視聴者の信頼という言葉、決意を繰り返し会長は述べられるわけですけれども、この点ではどのような改革をされていくのか、これがなかなか見えてこないのではないかと感じております。
 数々の不祥事を考えると、最も大切な一つは、役員の皆さんを先頭に全職員の皆さんが、視聴者・国民の受信料で支えられているという公共放送としてのNHKの重要な役割、とりわけ、ジャーナリストとしての自覚に立ち、視聴者・国民の皆さんとの関係で緊張感を持つ、ここが大きく問われていると思います。
 それでは、その自覚、緊張感は何が出発なのか。私は、やはり視聴者・国民の声が出発点だと考えます。
 過去、実際に不祥事が続いたときには、会長が責任をとって辞任されるとともに、同じように重きを置いて取り組まれたのが、視聴者・国民の皆さんとの直接対話だったというふうに思います。現在の視聴者のみなさまと語る会も、その中から生まれたものだと思います。
 繰り返しになりますけれども、視聴者の信頼、例えば、これまで、コールセンターへの声、この語る会、また受信料の徴収時の対話などが大変大事なツールだったと思いますけれども、今回のさまざまな不祥事を受けて、過去に例がないわけですから、この点での改革、視聴者の皆様の声を真っすぐ聞き、改革に生かす、この点ではどのようなことを考えていらっしゃるでしょうか、会長にお伺いしたいと思います。

籾井参考人 お答えいたします。
 一連の不祥事を私としては深刻に受けとめております。視聴者の皆様の信頼を取り戻すため、私が先頭に立って、不正を許さない意識改革、それからグループ全体の抜本的な経営改革に不退転の決意で取り組んでまいっております。
 今御指摘がありました、受信料でNHKは成り立っているんだということについては、もとより承知はいたしておりますが、改めて、私を初め役員並びに職員一同、加えて関連企業も含めまして、意識を新たに改革をしていきたいというふうに思います。
 それから、管理体制につきましても、通り一遍ではなく、複数の目でチェックをしていく。タクシー券の問題につきましても、複数の者が管理をしていくという体制をつくりたいと思いますし、それから、支払いにつきましても、従来、赤字でなければよかったというような意識があったというふうに思いますけれども、これにつきましては、一つ一つしっかり、伝票の裏づけとなる書類を一々チェックしてやっていきたいというふうに思っております。
 グループ全体の抜本的な経営改革としましては、今月、関連団体運営基準というものを改正しまして、具体策を策定いたしました。
 この中では、言うまでもないことですが、コンプライアンスの徹底をもう一度やっていく。それから、NHKグループ意識の醸成、これは、本体であるとか関連企業であるとか、そういうことを抜きにしまして、NHKグループ全体としてこういうコンプライアンス、ガバナンスに対応していきたい。それからまた、ゼロからの改革という意味で、構造改革などにも取り組んでいきたい。これにつきましては、まだ着手はしておりませんが、可及的速やかに着手するように今体制を構築中でございます。
 できることから着実に実行に移してまいりたいと思っております。

梅村委員 ですから、そういう御答弁がずっと続いたんですけれども、そういう中に、やはり公共放送としての緊張感、真っすぐに視聴者・国民の声を聞く、そこの改革がなかなか見えてこない。
 今、会長がおっしゃったことは、この委員会でもるる御答弁いただいたと思うんですけれども、私が聞く中では、視聴者・国民の声を聞く、この改革がどうなのかということを聞きましたので、ちょっと時間が余りありませんので、質問に基づいてお答え願えたらと思います。この改革はいかがでしょうか。

籾井参考人 お答えします。
 委員がおっしゃるとおり、やはり視聴者の声というものは非常に大事でありまして、我々も日々コールセンターに届く声をお聞きして、当然のことながら、一つ一つ私のところにも参るわけでございます。そういうわけで、私としては、視聴者の声ときちんと向き合うようにしておりますし、さらに今後ともこれをやっていきたい。
 それから、NHKや子会社の不祥事を受けまして、厳しいお叱りの声や、再発防止の徹底を求めるさまざまな御意見もいただいております。
 それぞれの意見を真摯に受けとめ、ただ声というだけではなく、具体的にそういう事柄に対応してまいって、視聴者の信頼や期待に応える改革を進めてまいりたいというふうに思っております。

梅村委員 それでは、昨年も聞きましたけれども、語る会、昨年も、例えば十一月には埼玉大学で、そして十月には仙台会場などで実際に行われていると思います。この中では、政権や国に左右されていない立場で本当に伝えるべき情報を伝えていくという目的の、地道に受信料制度を理解してもらう活動をしていくべきだとか、会長の数々の問題発言について視聴者の立場からの意見を言う場が欲しい、こういうことがアンケートにも書かれていたということが知らされております。
 こういうことはどのように受けとめ、また検討が行われているのか、経営委員長さんにお尋ねしたいと思います。

浜田参考人 視聴者のみなさまと語る会でいただいた御意見は、出席した経営委員の話や開催報告で情報共有をしております。
 経営委員会といたしましては、語る会開催直後の経営委員会で出席者が会合の模様を報告し、感想を述べております。
 この報告も受け、経営委員一人一人が視聴者の皆様からいただきました御意見や御要望を真摯に受けとめ、委員会で発言されているものと考えております。

梅村委員 重視をしていただきたいと思います。
 私、去年の予算質疑の中で、去年はとりわけ会長の発言への意見が語る会でも大変多かった、その数字も示させていただきましたけれども、どういうふうに会長はこういう声を承知されていますかという質問に対して、理事からの報告を受けても詳細を知っているわけではないというふうに籾井会長はお答えになったので、私は、あんなに重大な問題が起こっているのに、また会長自身への御意見が大変多い中で、その会長御自身にその意見が詳細に届いていないということ自身にびっくりいたしましたし、全国の視聴者の皆さんは、語る会で言ったことが籾井会長に詳細に届いているだろうと思って発言されてきたと思いますので、びっくりしたと同時に、ここへの改善を昨年要望いたしました。
 この一年は、そういう意味では、そういう声は詳細に籾井会長に届いて、検討されているかどうか、確認させていただきたいと思います。

籾井参考人 先ほどから申し上げておりますように、やはり視聴者の声というものは非常に我々にとって大事でございます。コールセンターに日々いろいろな御意見が直ちに入ってまいりますし、そういうものに対しては、我々は真摯に耳を傾け、また、個人的な問題についての御指摘についても、私自身、真摯に重く受けとめて、対応いたしております。
 今後とも、そういう視聴者の声というものを非常に大事に受けとめてやっていきたいというふうに思っております。

梅村委員 それで、一言で結構なんですけれども、十月の仙台会場で出た、会長に視聴者からの意見を言う場が欲しい、こういうような意見についてはどのように受けとめていらっしゃいますでしょうか。

籾井参考人 私も本当に、視聴者の皆様に私のメッセージを直接伝える場というのはないのでございますけれども、今ございます視聴者と語る会というのは、とりあえず会長抜きということになっておりますので、会長は出ておりませんけれども、極力、さっきから言っておりますコールセンターとかそういうものを利用して、視聴者の皆様の声を酌み上げ、自分自身並びにNHKのために使わせていただければというふうに思っている次第でございます。
    〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕

梅村委員 公共放送としての緊張感を持つ、やはり命綱だと思いますので、ぜひ真っすぐ応えていただきたいというふうに思います。
 それでは、予算の方について伺いたいと思います。
 今度の予算は、過去最大の受信料収入となった結果、過去最高の予算規模になっていることが特徴だと思います。そして、その増収は、主に国内放送、国際放送の拡充などを進めるとされています。
 そこで、伺いたいと思いますけれども、収入増をよい番組づくりのために使うということについては大賛成でありますが、同時に、NHKは公共放送であり、営利を目的としているわけではありません。経営が安定している、さまざまな皆さんの努力のもとでの安定だとは思いますけれども、それは視聴者・国民の皆さんの御協力のもとでの安定だと思います。
 そういうときに立つならば、国民生活が苦しいわけですから、今回の予算、最大規模になることを踏まえて、値下げとか苦しい方々への軽減、こういうことが予算の審議の中では議論にならなかったのかどうか、この点を確認させていただきたいと思います。時間がないので、やったかどうかでお答えいただきたいと思うんですけれども、お願いします。

籾井参考人 短くという要請なので、短く。
 今年度の予算については、事業計画の作成に当たっては、受信料の値下げは、検討しておりません。
 しかしながら、やはり我々は、前にも答弁したことがありますが、NHKというものは、公共放送としまして宿命的に、余裕があれば値段というものを調整していかなければならないというふうに思っておりますので、その辺の、NHKのセンターの建てかえとかいろいろな巨額の資金が要る中で、我々としては、だからできないということではなくて、真摯に、そういうことは常に考えていきたいというふうに思っております。

梅村委員 常に真摯に考えていきたいと言いながら、過去最大の受信料収入なのに検討すらされなかったというのは、私は、やはり検討をすべきだったのではないか、議論としてしっかりとすべきだったのではないかというふうに思います。
 それで、この増収の背景に、やはり契約の仕方についていろいろ国民の皆さんの中から批判が上がっているという問題について伺いたいと思います。
 私たちのところに来た生活相談ですけれども、例えば、大阪の寝屋川の団地、高齢者の多い公営団地ですけれども、衛星放送が見られるようにアンテナをつけたら、個別のお宅では、うちは高齢だから衛星放送は見ない、こういうお宅もあるわけですけれども、ここに契約切りかえの方がいらっしゃったら、払えないならこの部屋を出ていってもらうしかないと。大家さんでも何でもないのに、受信料を、契約を切りかえないなら部屋を出ていく、そこまで言う資格があるのかどうか、大変びっくりしました。
 また、昨年の十一月に、大分の方ですけれども、今書類を書いてください、その方が、書いて後で郵送しますと言うと、郵送には対応していないんです、だから今書いてください、ネットで手続をすることなども考えますと言うと、この書類を書いてもらうしか変更する方法はないんです、では、手続を拒否するということですかと。
 本来これはちょっとふさわしくないやり方だというふうに思うんですけれども、やはり業績を上げようとして、そういう事例が、私たちのところには相談がふえている。こういう事態をどういうふうに認識していらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

籾井参考人 法人委託の訪問員などに対して、お客様から苦情が来ることもございます。一件一件について本当に、それはまことに申しわけないと思うんですが、そういうことがないように、そういう訪問員などに対しては、講習会を実施するとか、それから、苦情が寄せられたときには迅速に、お客様と対応した訪問員への指導を行っております。
 我々としても、公平負担の原則ということもありまして、何とか払っていただきたいという気持ちがそういう行き過ぎたことになっているんだろうと思いますので、その辺は十分注意しながら、そういうことが起こらないように最大の努力をしていきたいと思います。
 それから、先ほど宿命的な値下げと言いましたけれども、これは来年度の予算のことを言っているわけではないので、念のため、誤解はないと思いますけれども、申し述べさせていただきます。

梅村委員 国民生活センターへの相談は、NHKの受信契約に基づいては、二〇〇九年に三千百八十一件だったものが、今、倍以上にふえているんですね。やはり法人委託化の拡大の中で急速にふえている。
 今回の予算でも受信料の目標設置をされていますけれども、やはり手放しに収入がふえたということを喜ぶだけではなくて、その中ではこういう問題が内包されているということを真摯に受けとめていただいて、この点での改善を心より要望したいというふうに思います。
 最後に、ちょっと時間がなくなりましたので、予算の中で、株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構に今回初めてNHKとして二億円を出資する問題について伺っていきたいと思います。
 これは、いわゆる官民ファンド、つまり、民間だけでは出資しづらい、政治リスク、需要リスク、海外でのリスクの高い案件を官民で支援するものであり、私も昨年、法案審査の際、この総務委員会で質問させていただきました。その際、政府参考人は、「そもそも、通信、放送、郵便事業につきましては、参入規制だとか料金規制という規制に大きく依存しておりますために、突然の規制の変更による事業見直しのリスク、あるいは、有限希少な電波を利用する事業も多いために、政府からの周波数の割り当ての着実な履行がないと事業展開が一切できなくなるというリスク、そういったものが想定されてございます。」というふうに御答弁をされました。
 これも時間の関係で大変申しわけないんですけれども、昨年確認させていただいたこういうリスクがあるのか、その点を、あるということだと思いますけれども、確認させていただきたいと思います。

山田政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、通信、放送、郵便事業分野は規制分野でございますため、政治的影響を受けやすいなどのリスクがございます。
 そういったことから、公的性格を有する機構が資金供給や専門家派遣等を通じて支援を行って、こうしたリスクの軽減を図ることが必要であるというふうに考えております。

梅村委員 こうしたリスクが伴うということであります。
 そもそも、こういう官民ファンド、外国ではない。しかも、今回の二億円は、今回のファンドの中では最高の出資金額に並ぶ二億円という金額でもあるというふうにも聞いております。
 NHKがそういうリスクの高いところに行くのか。しかも、海外では余り事例がない。しかも、ほかの出資会社と並んで一番の出資金を出す。このような問題について、NHKとしてしっかりと、リスクや、NHKとしてしていいのかどうかということを議論されたのか。この点を、これも申しわけございません、時間の関係で、まとめて御答弁いただきたいと思います。

井上参考人 お答え申し上げます。
 実際に海外通信・放送・郵便事業支援機構への出資が行われるまでには、このNHK予算を御承認いただいた後、出資について経営委員会の議決を得た上で、総務大臣の認可を受けるといったプロセスを経ることが必要であります。
 今、予算編成に当たりましては、海外発信の強化等に協力するという観点から、二億円の出資金を計上しております。この際には、既に業務を行っているほかの官民ファンドの活動状況などを参考にして検討を行ったところでございます。
 まだ、JICTと申しますけれども、活動を始めた段階でありまして、今現在具体的に進行しているものはありませんけれども、NHKといたしましては、中長期的な視点から、コンテンツの海外展開等に当たってこの機構が活用できないか、その可能性を検討する意味はあるのではないかというふうに考えているところでございます。

梅村委員 リスクなどについての検討がどう具体的にされたのかというのは、今の御答弁では十分知ることはできませんでした。
 大臣意見では、「経済成長や国際社会における我が国のプレゼンス向上に資するため、株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構の活用も含め」と述べていらっしゃいます。安倍政権の成長戦略、NHKの機構への出資、活用をこのもとでどのように位置づけているのか、もしございましたら、御答弁いただきたいというふうに思います。

高市国務大臣 放送法の第十五条でNHKの果たすべき役割、目的としまして、良質な放送番組の提供とともに、国際放送や放送及びその受信の進歩、発達に必要な業務を行うということを目的としています。
 NHKには、豊富な放送番組の蓄積ですとか、番組制作や放送技術に関する知識と経験が積み重ねられています。
 来年度のNHK予算では、NHKからJICTへの二億円の出資を盛り込んだんですけれども、NHKが、JICTと連携をしながら、みずから持っている放送番組や知識と経験を活用しながら、放送コンテンツの海外展開、放送制作、編成や送受信に必要な技術の提供、現地放送事業者の人材育成といった取り組みが海外で促進されると考えております。
 例えば、NHKの放送コンテンツの海外展開に関しましては、NHKの大河ドラマや連続テレビ小説などが東南アジアで放送されていて、JICTとの連携によりまして一層の展開が期待されます。そうなりますと、海外での取り組みが日本に対する魅力や理解を増進させるということで、訪日外国人の増加にもつながると思います。

梅村委員 NHKの国際的な技術提供や国際放送の強化は、何もこの官民ファンドに入らなくてもできるものだと思います。
 そもそも、昨年のこの支援機構の法案説明で、大臣は、我が国経済の持続的な成長のためには、海外における新たな事業機会を捉え、我が国の事業者の収益性の向上を図る必要があるとされました。
 そうした海外での収益性の向上、目的を持った機構、そしてそこにNHKが参加をするということは、NHKが経済成長のためのツール、道具にされようということではないかと思います。
 そもそも、NHKは、収益性を求める組織ではありません。公共放送として政府から独立し、商業主義にくみしない基本的立場を貫くことが何よりも大事だと思います。
 民間も参入に尻込みをするリスクの高いところに事業展開する官民ファンドなどにNHKは国民の受信料を使って出資すべきではない、これはNHKの商業主義への大きな転換への一歩であることを厳しく指摘し、質問を終わります。




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