梅村さえこ-
国会質問

質問日:2017年 5月 11日 第193国会 総務委員会

性暴力被害への支援 梅村氏 国の責任で拡充を

 

 梅村さえこ議員は11日の衆院総務委員会で、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの拡充を求めました。

 性犯罪・性暴力被害者への支援をめぐっては、今年度、被害直後の医療的・心理的ケアや証拠採取、被害届提出などを1カ所で行うワンストップ支援センターを都道府県が設置・運営する際、費用の半分を国が負担する交付金ができました。

 梅村氏は、異性から無理やり性交された経験のある女性が6.5%(人口に換算すると350万人)に上り、うち3分の2超が‘‘誰にも相談しなかった‘‘との内閣府調査を示し、ワンストップセンターの重要性を強調。現在、38都道府県に39施設あるセンターを全国に設置すること、とりわけ「病院拠点型」を主流にすることが課題であり、被害者支援に関わる人たちの強い要望だと述べました。

 内閣府の大塚幸寛大臣官房審議官は病院拠点型は少ない理由に、拠点となれる病院や人材の不足を挙げ「交付金を活用し、できるだけ地域の要望に応えたい」と述べました。

 梅村氏は、センター設置・運営費の都道府県負担分には地方財政措置がとられることを確認。さらに、交付金の来年度以降の継続や予算増額を願う現場の声を紹介し、被害実態や国連の示す水準(人口20万に1カ所)に見合う予算の拡充と、国の責任を明確にすることを求めました。

【「しんぶん赤旗」2017年5月14日付】

ー会議録ー

○梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。
きょうは、性暴力被害者支援について質問いたします。
まず、高市大臣に伺います。
性暴力被害が大きな社会問題となっており、第四次男女共同参画基本計画では、民間主導で進められてきた性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターを、行政も関与して、二〇二〇年までに各都道府県に最低一カ所設置とし、今年度から一億六千万円の性犯罪・性暴力被害者支援交付金が予算化され、いよいよ被害実態にふさわしい地方公共団体での取り組み強化が本格的に求められるときになりました。
また、いわゆるアダルトビデオ出演強要やJKビジネスなどをめぐって性的搾取が広がり、SNSやツイッター、インターネットなどを通じた被害がありながら、実態はほとんど把握されておらず、被害者の受ける深刻な打撃ははかり知れません。三月には関係府省庁対策会議が設置をされ、総務省も参加をし、この四月の被害防止月間を受け、五月中旬をめどに今後の取り組み方針が策定される計画だと聞いております。
このように、性暴力被害の支援については、内閣府、厚労省、法務省などとともに総務省の役割も大きいものがあると考えますが、まず、大臣の性暴力被害への御認識と、総務省の検討事項を伺いたいと思います。
○高市国務大臣 性的な暴力の問題というのは極めて深刻な状況であると認識をしております。性暴力被害者への救済につきましても、これは重要な課題だと考えております。
今、委員もお触れいただきましたが、女性がいわゆるアダルトビデオへの出演を強要される問題も発生していますし、総務省としては、まず、インターネット上にその出演画像ですとか、また性暴力被害を受けた際の映像などが流通したというようなときに、ネット上の被害の対策として、利用者からの御相談を受け付けて、具体的な削除要請の方法などについて助言を行う違法・有害情報相談センターというものを運営しております。
この違法・有害情報相談センターに寄せられる相談事項につきましては、適宜関係省庁に提供し、共有を図っております。関係省庁の取り組み内容についても、必要に応じまして通信事業者に周知を行っております。
今、内閣府が各省庁の相談窓口一覧をホームページに掲載していただいておりますので、できるだけ各省連携して、悲惨な被害が、特に二次的な被害も含めて減少していくように力を入れてまいりたいと存じます。
○梅村委員 インターネットなどでの被害も広がっていますので、この問題についてはまた次に質問もしていきたいと思いますが、ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
きょうは、特に、前半で少し聞きましたワンストップセンターの方について主にはお伺いしていきたいというふうに思います。
改めて、ワンストップセンターとはどういうものなのか、内閣府の答弁を求めたいと思います。
○大塚政府参考人 お答えをいたします。
性犯罪や性暴力、これは、性別を問わず人権を著しく踏みにじる、決して許されない行為でございまして、加害者に対する厳正な対処とともに、やはり性犯罪、性暴力の被害者への支援が極めて重要でございます。
その上で、議員御指摘のワンストップ支援センターでございますが、これは、被害を受けられた方の心身の御負担を少しでも軽減するために、被害の直後から相談を受けて、医療的な支援あるいは心理的支援などを含めて、そうした一連の支援を可能な限り一カ所で提供するということを意味する施設でございます。
○梅村委員 被害者が、病院に行き、相談所に行き、警察などに行き、それぞれ足を運んでそのたびに被害について述べるということは、二次被害、三次被害ともなる危険もあるわけですから、今おっしゃったように、速やかに、一カ所で、なるべく早く対応していくということで、ワンストップセンターということが本当に被害の救済では必要だというふうに思います。
そこで、ワンストップセンターの重要性をさらに認識するために、現在の性犯罪、性暴力被害の実態を簡潔にお答えいただきたいと思います。
○大塚政府参考人 お答えいたします。
私ども、男女間における暴力に関する調査というものをいたしてございますが、直近の二十六年調査の結果を見ますと、例えば、二十歳以上の女性千八百十一人に、これまでに異性から無理やりに性交されたことがあるかと問うたところ、そうした被害経験ありと答えた女性が六・五%、百十七人でございました。その六・五%の方々に対しまして、そのことを誰かに打ち明けたり相談したかというふうにお尋ねしたところ、そのうちの六七・五%、三分の二を超える方々が相談しなかったと答えている。そういう状況が例えばうかがえるところでございます。
○梅村委員 今御答弁がありました資料については、資料一であります。
それで、実数としては百十七人ということですけれども、調査対象が千八百十一人ですから、これは人口に換算すると、実に、六・五%であれば、人口でいうと三百五十万人あたりが、合意もないのに無理やり性交させられた経験を持つという調査結果になろうかと思いますので、この数字は非常に重大だというふうに思います。
特に、強姦や強制わいせつは魂の殺人と言われていると思います。今御紹介がありましたけれども、ちょっとなかった部分ですけれども、年齢的にいつごろそういう無理やりに性交させられたのかということが、今、資料の一の下の方にありますけれども、小学生以下が一一・一%、中学生のときが二・六%、そして中学卒業から十九歳までが二三・一%ということで、性暴力被害の無理やり性交させられたといううちの四割が十代以下というふうになっていることは非常に重大だと思うわけですね。
どこにも相談できずに苦しんでいらっしゃる方が、今御紹介ありましたように、六七・五%。大人であれば自分たちでいろいろなことができるかもしれない。それでもできないんですけれども、とりわけ、未成年がこんなに、四割近くいるもとで、相談しなかったが六七・五%。ですから、若者、女性、子供が性暴力被害でたくさん苦しんでいるという実態を深刻に捉えなければいけないというふうに思います。
私、日本で初めてのワンストップセンター、大阪・松原市の阪南中央病院の性暴力救済センターの大阪SACHICOにも行ってまいりましたけれども、SACHICOでは、七年間の電話件数が総数で二万八千五百七十三件。うち、延べ来所が五千百八十八件で、二〇一六年度は一日に二人から三人が来所をしている。来所をするというのはとても勇気の要ることだと思うんですけれども、実際に来ている方が一日ペースで二、三人もいらっしゃる。初診カルテをつくった人は、この七年間で千四百八十六人いる。
その被害の内容を見てみると、レイプ、強制わいせつ、性的虐待、DV。うち、九百十二人、六一・三%がSACHICOでは未成年になり、九歳以下、そして十歳から十四歳も合計百名を超えている。こうした中で、妊娠の事態も起こっているわけですよね。
児童相談所や学校や警察から連れてこられる。実は、被害を受けられる相手が実の父だったり、義理の父だったり、兄弟や親戚だったり、そういう事態もあって、誰にも言えずに苦しみ続けている、そういう若者だとか女性や子供たちがいるということは非常に深刻だと思います。そして、妊娠や出産、また中絶の事態もあるわけです。その望まない妊娠の背景にやはり望まない性交がある。すなわち、これが性暴力だというふうに思います。
日本政府は、何度も国連の人権委員会から、性犯罪規定が国際的な人権水準からは立ちおくれているという勧告を受けていると思います。そして、北京女性会議において言われた性的人権の確立が、本当に今、こういう現状のもとでは大事になっており、だからこそ、ワンストップセンターが全国で早急に急がれているというふうに思うわけです。
それで、現在の設置数、または形態別について、簡潔に御紹介いただきたいと思います。
○大塚政府参考人 お答えいたします。
ワンストップ支援センターにつきましては、ことし平成二十九年四月一日現在で、三十八都道府県に三十九施設設置をされております。
その主な形態の内訳を申しますと、いわゆる病院を拠点とするタイプ、それから相談センターを拠点とする形、そして相談センターと他機関との連携型と大きく三つございまして、病院拠点型が九施設、それから相談センター拠点型が一施設、相談センター連携型が二十八施設、これのいずれにも属さないものが、その他ということで一施設というふうに把握をしております。
○梅村委員 ありがとうございます。
その実態が資料の三にあるというふうに思います。
それで、この間、内閣府が二〇一四年から性犯罪被害者等のための総合支援に関する実証的調査研究を立ち上げられ、毎年予算もつけられてまいりました。そして、今年度から初めて性犯罪・性暴力被害者支援交付金が開始をされ、今の御答弁にはなかったんですけれども、こういう交付金に後押しをされて、ほぼ全ての県でいろいろな努力が始まってきているということは聞いているところです。その皆さんの御努力に感謝を申し上げたいと思います。
これは、もう長年、被害者や民間支援団体の皆さんが一生懸命取り組んでこられた結果でもあるというふうに思うわけですね。
貴重な一歩を今踏み出そうとしております。しかし同時に、被害実態にふさわしい本格的な地方公共団体の取り組みとしては、私は大きな課題があるというふうに思います。
その一つが今御紹介いただいた形態の問題なんですけれども、そもそもワンストップセンターというのは、なるべく早く、不合意な性交によって妊娠の可能性がある場合なんかは、七十二時間以内に病院に行って処置をすれば、一〇〇%ではないですけれども妊娠が防げるというような処置もあるわけですから、やはり病院に速やかに行って、心身とものケアと、そして警察との連携だとか相談体制が必要だと思うわけです。
そういうことで、現場からは、なるべく病院拠点型、病院を中心とした取り組みにすべきだという強い要望が上がっているんですけれども、先ほどの御答弁では、病院型は九で、そういうところと連携した相談センターが一で、そうではないところが二十八ということなので、私は、やはり本来のワンストップセンターの役割からすれば、病院拠点型、これは医療機関との協力だとかお医者さんの協力が必要なので大変な努力が必要だと思いますけれども、しかし、若い人たちがこれだけ被害に遭っているわけですから、そういう努力を強めていただきたいと思いますが、その点、いかがでしょうか。
○大塚政府参考人 お答えいたします。
いわゆる病院拠点型が少ない理由でございますが、必ずしも個々の県の詳細な状況を把握しているわけではございませんが、やはり主な要因としては、拠点となる病院が不足している、あるいは医療関係者、支援者などの人材が不足しているといったことなどが考えられようかと思います。
ただ一方で、拠点としての役割、機能を担うのは難しいという場合でありましても、例えば、先ほどの連携型の中で、協力病院あるいは提携病院といった形で一定の医療的支援の役割を担うことはできるといったようなケースもあろうかと思いますので、そのあたり、恐らく地域によっても状況はさまざまだと考えられます。
先ほど御紹介いただきました新たな交付金、これもできるだけ各都道府県の実態、ニーズに合わせた形で応えられるように、こうした交付金も効果的に活用して、できるだけそういった地域の要望にきめ細かく応えてまいりたいと考えております。
○梅村委員 先ほど御紹介した大阪のSACHICOは、立ち上げに数千万円、二十四時間三百六十五日ホットラインと相談体制の維持に年間三千万円の運営費を要しているというふうにあります。
今回交付金がスタートしたことは非常に重要で、後押しになっていることは間違いありません。しかし、今後これが続いていくのかとか、一回限りではないかとか、恒常的に使えるのかとか、そういうお声もあるんですけれども、その重要性からして、今後継続的に引き継がれていく、さらに前進させていくという方向でいいのかどうか、確認したいと思います。
○大塚政府参考人 お答えいたします。
この交付金、今年度新たにお認めいただきました。まずはとにかくこの交付金を活用していただきまして、それぞれの都道府県において、まずはその支援の充実、センター未設置のところは早期に設置をし、その上で安定的な運営を図っていただくということが何よりも大事だと思っております。
まずはこの交付金をとにかく活用していただき、我々もその活用状況をよく把握しながら、今後のあり方につきましても引き続き検討してまいりたいと考えているところでございます。
○梅村委員 これだけ被害が大きいわけですから、ぜひ、実態もつかみながら、さらに前進させていく方向でお力添えをいただきたいというふうに思います。
それで、地方自治体の財政負担もこれで生まれてくると思うんですが、地財の措置の方についても確認させていただきたいと思います。
○黒田政府参考人 御指摘の性犯罪・性暴力被害者支援交付金に係る事業の地方負担につきましては、普通交付税措置を講じることとしております。
具体的には、この交付金の地方負担分も含めました男女共同参画推進費につきまして、都道府県分の包括算定経費の単位費用の中に算入しまして、人口に応じて算定することとしております。
○梅村委員 地方自治体が性暴力被害者支援に思い切って取り組めるように、今後も地財措置、努力をしていっていただきたいというふうに思います。
最後に、内閣府に伺いたいと思います。
やはり、一県に一つではまだまだ足りないということは明らかだと思います。国連は、人口二十万人に一カ所の水準を既に示しているわけです。大変日本はおくれています。取り組みが始まったばかりだという現在の到達はあると思いますが、国連の水準を目指して今後推進していくおつもりかどうかということを最後に御答弁いただきたいと思います。
○大塚政府参考人 私どもといたしましては、今回認められた交付金、これをまずとにかく積極的に御活用いただきまして、まずは全都道府県にワンストップ支援センターを早期に設置する、この目標に基づきまして、引き続き支援の充実に努めてまいりたいと考えております。
一部のところは、かなり連携のネットワークを張りめぐらして広域的な対応もやっているところもあるようでございますが、そうしたことも含めて、できるだけ地域の実態に沿えるような支援を引き続き考えてまいりたいと思っております。
○梅村委員 ぜひ、そういう方向で全力を尽くしていただきたいというふうに思います。
そして、このワンストップセンターの問題でいいますと、所管省庁、官庁がない、法的根拠がない、これがやはり一番大問題だと思うんですね。野党は、昨年五月に性暴力被害者支援法案を共同で提出し、現在継続審議中です。ぜひとも早期に法整備を行い、国連の求める水準に近づけるようにしていくべきだというふうに思います。
これまで、支援は、民間支援団体やボランティアに支えられてきましたけれども、本来、国と地方公共団体が責任を持って進めることだというふうに思います。しっかりとこの点に立って行っていただくことを強く求めて、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。

ー配布資料ー

性暴力被害配布資料①

性暴力被害配布資料②

性暴力被害配布資料③

質問の映像へのリンク

性暴力被害支援 国の責任で拡充を

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