梅村さえこ-
消費者問題

機能性表示食品、消費者軽視と批判 トランス脂肪酸、表示すべきと要求

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 梅村さえこ議員は5月12日の衆議院消費者問題に関する特別委員会で、機能性表示食品問題に対する問題等について政府の姿勢をただしました。

 機能性表示食品はこの4月に開始された制度で、国が内容を審査せずに企業の責任で食品の機能性を表示できる制度です。

 梅村議員は、消費者庁が受理した機能性表示食品は21件あるが、その中でいわゆる「トクホ」で根拠に疑問があるとされた成分が機能性表示食品では受理されるという問題が生じており、消費者の立場からはわかりにくい制度であると指摘したにもかかわらず、消費者庁は「問題があれば必要に応じ調査を行う」と終始。

 梅村議員は「消費者は最初から安全なものを求めている。余地が残るような制度は慎重に検討すべき」と新制度スタートが拙速に進められてきたことを批判しました。
 またトランス脂肪酸の表示問題についても質問し、一部食品においてトランス脂肪酸含有量が高いことを、具体例を挙げ指摘。健康への影響が心配されることから表示を義務付けるように求めました。

【「しんぶん赤旗」】

ー会議録ー

梅村委員 日本共産党の梅村さえこでございます。

 この委員会での質問は初めてとなります。貴重なお時間を本当にありがとうございます。

 まず、四月からスタートをした機能性表示食品制度について伺いたいと思います。

 この新制度ですが、わずか一カ月で既にさまざまな懸念や不安が広がってきております。現在のところ、消費者庁が届け出を受理した商品は二十一件。その中に、特保の審査過程で安全性が確認できていないとされる成分が含まれていたものがあり、食品安全委員会が五月に正式な評価書をまとめる予定と聞いております。

 しかし、特保で根拠が疑念視される成分が機能性表示食品では受理される、これは、消費者の立場で見るならば全く理解できない、消費者を混乱させ、表示をかえってわかりづらくさせ、食の安全への不安を大きくすることになるのではないかと思います。

 まず初めに、山口大臣の御認識をこの点でお伺いできればと思います。

山口国務大臣 この機能性表示食品制度につきましては、企業等の責任において、食品の機能性及び安全性の科学的根拠に関する情報について消費者庁に届け出を行いまして、当該食品に係る機能性表示を可能にするものでございまして、届け出を受けた消費者庁では、資料のいわば形式的な確認を行った上で、届け出内容を消費者庁のホームページで公表するというふうな仕組みになっております。

 これは、届け出後の事後チェック制度をしっかり機能させていくということが実は前提になっておるわけでございます。

 そういった意味で、具体的には、消費者の皆さん方の安全を確保するために、例えば、事業者は安全性とか機能性に関する科学的根拠について商品販売の六十日前までに消費者庁に届け出を行うとか、あるいは、開示資料を端緒として寄せられる疑義情報を活用して、届け出情報の公表の後に、安全性とか機能性に関する科学的根拠等について食品表示法に基づく事後監視を行うとか、あるいは健康被害に関する情報の収集体制をしっかり整備していく、さらには、食品衛生法上の危害が生じた場合は、必要に応じて、厚生労働省または都道府県等が同法に基づいて廃棄等の命令を行う等々のことを行うようにしております。

 こうした取り組みによって事後チェックをしっかりやっていくということで、科学的根拠に基づかない表示がされた食品の流通を防ぎ、消費者の安全が確保されるように制度を運用してまいりたいと思っております。

梅村委員 スタートからこうした問題が起こるのは、特保や栄養機能食品については国の規格基準の適合が必要なのに、新しい機能性表示食品については事業者の届け出で表示する制度にした。やはり、こうした制度があれば、今回のようなことはまた起こってくるのではないかと思いますが、この点は、消費者庁、いかがでしょうか。

岡田政府参考人 お答えいたします。

 今回の制度は、事前審査でございませんで、事後のチェックの制度でございます。

 したがいまして、事前に特定の食品につきまして審査してはねるという性格ではございませんけれども、あらかじめ届け出をしていただきまして、科学的根拠あるいは安全性に関する根拠についても届け出をいただいた上で、それを消費者庁のウエブサイトにオープンにして、チェックしていただける、こういう制度に仕組んだところでございます。

梅村委員 その仕組みそのものはわかるんですけれども、私が質問しているのは、特保では疑念視されながら、機能性表示食品では表示可能になる、そこは消費者から見たらやはり不安が助長されるのではないかというところを聞きたいと思ったんですけれども、その点はいかがでしょうか。

岡田政府参考人 個別の商品のことについては差し控えさせていただきますけれども、一般論として申し上げれば、機能性食品制度につきまして、事前審査ではございませんので、あくまで、届け出を受けて、その情報をしっかりとオープンにさせていただくということが重要かというふうに思っております。

 その後、問題点がございましたら、あるいは疑義情報を入手すれば、必要に応じまして、それについて事業者からヒアリングなりをする、調査などをいたしまして、その食品についての根拠情報が十分なものかどうかというのを確認するというような手続をとろうかというふうに考えているところでございます。

梅村委員 届け出制であれば、その後チェックして是正すればということであれば、やはり国民、消費者は最初から安全なものを表示の上でも求めているわけなので、そういう余地が残るような制度というのはやはりしっかりと慎重に検討すべき必要があるのではないか。とりわけ、スタートからそういうことが起こっているということが、今回はもう少し重視をして考えていくべきではないかということを要望しておきたいというふうに思います。

 そもそも、この機能性表示食品、食の安全の問題、健康食品の問題ですけれども、近年の健康に対する関心の高まりなどを背景に、健康食品は、多くの消費者にとって身近な食品として、その市場は一兆円とも二兆円とも言われております。市場がやはり拡大してくる中で、健康食品が広がる中で、相談もふえてきている、比例をしてきた歴史的経過があるかなというふうに思います。

 全国消費生活情報ネットワークシステム、PIO―NETの集約では、二〇一三年には年間四万六千七百六十件、この五年間を総計すれば実に十一万七千七百五十一件にも上る相談が健康食品をめぐってあるという事実はやはり直視しなければいけないと思いますし、特に内閣府消費者委員会の直近のアンケートでも、約五割の消費者が行き過ぎた宣伝、広告が目立つと回答しており、虚偽、誇大なものが目立つとの指摘もされてきているわけです。

 ですから、このような中では、本来、健康食品表示や広告の適正化に向けた取り組みの強化、消費者の安全、安心を広げることが求められるのではないかというふうに思いますけれども、この点はいかがでしょうか。

岡田政府参考人 お答えいたします。

 健康食品を含めまして、いわゆる機能性を表示する食品、これについての各種の制度がございます。特定保健用食品もございますし、今回の機能性表示食品制度、さらにまた、既に栄養機能食品制度というのもございますので、そういった制度をどういうふうに理解していただくかということが大変重要だと思っております。

 消費者の理解増進を図っていくことにつきましては、消費者の自主的かつ合理的な商品選択を確保する上でも重要であるというふうに考えておりまして、本年三月に閣議決定されました消費者基本計画においても明記されているところでございます。

 消費者庁といたしましては、機能性表示食品制度を含めました新たな食品制度に係る全国説明会の開催や、機能性表示食品制度に関する消費者向けの普及啓発用の資料の作成などの取り組みを行っているところでございまして、今年度の予算におきましてもこういった資料を作成するための予算を計上しておりまして、こういった予算も活用しながら、今後とも、機能性表示食品制度を含む新たな食品制度につきまして普及啓発に努めたいというふうに考えております。

梅村委員 そういう説明をいただきました。

 それで、機能性表示食品の問題については、届け出制で、先ほどから事後チェックが非常に大事だという話がありました。

 そこで、ホームページで事業者の商品などについて既に公表が始まっております。大臣初め消費者庁は、消費者も、根拠になっているホームページでごらんになっていただいて、みずから意識しながら消費をしていただくことで、お役に立つ制度になると思うというふうに強調しておられます。

 しかし、私自身、このホームページを見させていただきましたけれども、大臣初め消費者庁がおっしゃる、ホームページを見、意識しながら消費をしていただくということでいうと、中身は非常に難しいんですね。もちろん、情報提供はホームページで非常に積極的な面を持っていたと思います。しかし、まず今回の問題でいえば、商品名があり、そして、一般向け公開情報、有識者向け公開情報とあり、有識者向け公開情報の中には基本情報、機能性情報、安全性情報があり、それぞれPDFでどんどん開いて本当に先に先に進んでいかなければ、その知りたい情報に届かない。

 ただ、事前届け出制ですから、やはり消費者庁にとってみれば、それだけしっかりとした情報を消費者に与えなければいけないということで丁寧に書いていると思うんですけれども、しかし、あれを全部のみ込んで消費者がお買い物をしていく、チェックをしていくということでいえば、まだまだ大きな改善が必要なのではないかなというふうに思います。

 しかも、皆さん、買い物をするときに、ホームページをチェックしながら買うかといえば、日常的には、多くの消費者の皆さんは、テレビや新聞広告、CM、店頭に行ってやはりパッケージで判断をしていくことが多かろうというふうに思います。

 そして、先ほど高齢者の皆さんの被害の問題がありましたけれども、この間の健康食品の相談でも非常に高齢者の皆さんの質問が多い。では、高齢者の皆さんが、ネット環境があり、ああいう内容が見られるかといえば、なかなか、判断しながら高齢者の皆さんが買っていくということでいえば、この分野でも努力が必要だというふうに思いますし、また、さまざまな成分について書かれていますけれども、かなり専門的で難しいこともあると思います。

 そういう意味でいうと、安全かどうか、選択は消費者任せ。選択が広がりました、どうぞ自己責任で選んでくださいというのであれば、消費者の食の安全、安心は守れないのではないかなというふうに思います。

 その点では、ネットで情報公開される企業からの情報だけに求めるやり方では非常に危険であり、国、消費者庁はネット環境にない方々を念頭に置いた対策を企業任せにせず行うべきだと思いますが、この点はいかがでしょうか。

岡田政府参考人 お答えをいたします。

 今回の制度におきましては、消費者庁のホームページで個別情報については開示をするということにいたしておりますけれども、そのほかにも、事業者の連絡先も届け出情報として公表しておりまして、事業者において一般消費者からの問い合わせに適切に対応していただくことも期待しているところでございます。こういった連絡先も記載するというのは、ほかの食品についてはございません。今回の機能性表示食品制度に特に設けた仕組みでございます。

 また、ネットについての御指摘もございましたけれども、私ども、一般消費者向けの概要情報をわかりやすくするということは大変重要だと認識しておりまして、ガイドラインにおきましても、誤解を生じさせない範囲で平易な言葉に置きかえて記載すること、過度な長文にならないようにすること、あるいはまた、安全性に関する基本情報は、喫食実績、既存情報を用いた評価あるいは安全性試験による評価内容を中心に要約すること、あるいは、機能性に関する基本情報につきましては、最終製品を用いた臨床試験、または最終製品もしくは機能性関与成分に関する研究レビューについて、わかりやすい抄録として記載するということを定めておるところでございます。

 こういったことによりまして、消費者の皆さんにわかりやすく情報が伝えられるように努めてまいりたいというふうに考えております。

梅村委員 それでは、事後の専門家や消費者団体などのチェックがどのように機能していくのか。先ほど来、事後チェックが大事だというお話がありました。そして、被害が起きた場合に、消費者庁に速やかに報告するとあるけれども、いかなる義務も罰則もないのかどうか、この点を伺いたいと思います。

岡田政府参考人 お答えをいたします。

 御案内のとおり、本制度は届け出後の事後チェック制度をしっかり機能させることが前提となっておりまして、消費者庁は、開示資料を端緒として寄せられる疑義情報も活用して、届け出情報の公表後に、安全性や機能性に関する科学的根拠等について、食品表示法に基づき事後監視を行うということとしております。

 また、市場に流通する機能性表示食品を実際に購入いたしまして、その表示が適正かどうか、機能性関与成分が届け出どおりに含有されているかどうか等について調査分析を行うことも検討しておりまして、そのために必要な予算も計上しているわけでございます。

 機能性表示食品の監視につきましては、消費者庁と全国百四十一カ所の保健所等の保健衛生部局が連携いたしまして、適正な表示が行われるよう監視する体制も整えたところでございます。

 こうした取り組みによりまして、科学的根拠に基づかない表示がなされた食品の流通を防ぐべく、制度を運用してまいりたいというふうに考えております。

梅村委員 体制の強化ということですけれども、新しい制度が始まって、体制的にはどのように強化をされるんでしょうか。

岡田政府参考人 お答えをいたします。

 平成二十七年度の消費者庁の定員ということでございますけれども、監視体制の強化といたしまして、食品表示法や新たな機能性表示制度の施行のための執行体制の構築ということで五名の増員をいたしたところでございます。

梅村委員 あのような情報を表示していく、チェックしていくということでいえば、五名でできるのかどうかというのはいろいろな議論もあると思いますけれども、ぜひその点、拡充をしていただきたいなというふうに思います。

 次に、時間の関係もありますので、トランス脂肪酸表示の問題について御質問をしたいというふうに思います。

 これの表示義務化に踏み切らなかった理由として、世界の摂取量、その一%未満を下回っているという考え方があることは参議院の方での議論でもあったかというふうに思います。

 しかし、子供たちがよく食べるマーガリンでも十三グラム、菓子パイ七・三グラムと、非常に大きく基準を超えている一部の食品もあるわけですけれども、一%を下回っているでは説明にならないのではないか。これらを食べ続ける子供たちへの影響、それをどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

岡田政府参考人 お答えいたします。

 食品表示法に基づく栄養成分表示につきましては、消費者における表示の必要性、事業者における表示の実行可能性、それから国際整合性の全てを満たすものにつきまして義務表示といたしたところでございます。

 御指摘のトランス脂肪酸につきましては、脂質の多い食品に偏った食事をしている場合はその摂取量が高くなる可能性があるとされているわけでございますけれども、日本人の大多数のトランス脂肪酸の摂取量はWHOの目標を下回っておりまして、食品安全委員会の食品に含まれるトランス脂肪酸評価書におきましても、通常の食生活では健康への影響は小さいというふうにされており、消費者全体への表示の必要性は必ずしも高いとは考えられないという整理をしたところでございます。

 また、食品中の栄養成分の含有量の合理的な推定を行うための書籍、文献等も必ずしも充実していないということから、事業者の実行可能性も高いとは考えられないということでございます。

 さらに、国際整合性につきましては、コーデックス委員会の栄養表示ガイドラインにおきまして、摂取量の水準が公衆衛生上の懸念となっている国では表示を検討すべきとされておりますけれども、さきに述べましたとおり、我が国では公衆衛生上の懸念とはなっていないという状況でございます。

 以上のことから、トランス脂肪酸の表示につきましては、義務ではなく任意表示といたしたところでございます。

梅村委員 これは、世界ではもう義務化が当たり前となってきております。

 一%を下回っていると言いますけれども、それは平均であって、子供たちに毎日御飯をつくっていれば本当に実感だと思うんですけれども、プロセスチーズでも一・一グラム、ナチュラルチーズでも一・五とか、マーガリン十三グラム、ショートニング三十一グラム、クッキー三・八、カレールーも一・六、ハヤシルー四・六。

 やはり子供たちが今の食生活の中で毎日口にするようなものに多く含まれてきているわけで、だから、子供たち、お母さんたちが一日も早く表示をしてほしいと望んでいるわけです。主婦連もそれを望んできております。ですから、義務化しない理由がないというふうに思います。

 このお母さんたち、子供たちの未来の体を守っていくためにも、ぜひ世界と同じように義務化することを求めまして、質問を終わっていきたいと思います。

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