梅村さえこ-日本共産党党中央委委員・子どもの権利委員会副責任者
くらし・税・TPP

民間委託推進を批判 衆院総務委 梅村氏が質問

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 日本共産党の梅村さえこ議員は2月26日の衆院総務委員会で、民間委託などで経費削減した自治体のとりくみを算定にとり入れて地方交付税を引き下げる「トップランナー方式」の導入の中止と、安全・安心の公共サービスの確保を求めました。

 梅村氏は、民間委託対象の窓口業務が戸籍、住民基本台帳、税証明、福祉の各部門に広げられ、東京・足立区の戸籍業務が偽装請負として是正指導されたことに触れ、「窓口業務は住民の福祉増進の最前線であり、見直しこそすべきだ」と強調。総務省自治行政局の渕上俊則局長は「法令違反が発生しないように助言したい」と答えました。

 梅村氏は、委託対象の学校給食の調理は食育の推進などで栄養教諭との連携が重要なのに、委託先の調理員が教諭の指示で業務を行えば偽装請負になると指摘。文科省の藤原章夫・大臣官房審議官も「関係法令に即して適切に運営されるべきだ」と述べました。

 梅村氏は、給食の民間委託が5割にとどまっているのは、地産地消で温かい給食をという子どもや保護者の切実な願いがあるからだと指摘し、「そもそも民間委託になじむのか検証すべきだ。交付税を使った民間委託の推進はあってはならない」と批判しました。

【「しんぶん赤旗」2016年3月3日付】

 

ー会議録ー

梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。

 まず、外形標準課税の拡大について伺いたいと思います。

 今回の外形標準課税の適用拡大と、地域経済に与える影響について、高市大臣にお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 今般の法人税改革は、企業が収益力を高め、より積極的に賃上げや設備投資に取り組むように促す観点から行うものでございます。また、我が国におきましては、一部の企業に税負担が偏っているという指摘もございますことから、広く負担を分かち合う構造としていくことも必要でございます。

 今回の改正におきまして、この法人税改革の一環として、税収の安定性の確保などの観点から、かねてより地方団体から要望いただいていた大法人向けの外形標準課税の拡大を、法人事業税の所得割の税率引き下げとあわせて行うことといたしております。

 これは、法人事業税の応益性の強化ですとか、税収が安定的で偏在性の小さい地方税体系の構築に資するという大きな意義を有すると考えております。

    〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕

梅村委員 先日の総務委員会でも、大臣から、外形標準課税の拡大についてかなり突っ込んだ御答弁があったかと思います。

 そのときも、今もそうですけれども、赤字法人の税負担増という問題は生じるというふうにされながら、今回の法人税改革は、企業が収益を高めて、より積極的に賃上げや設備投資に取り組むよう施す観点から行う、また、赤字とか収益力の低い法人でも、業績が向上していけば今回の改革によって税負担が軽減される、これらのことをこの間御答弁いただいていたかというふうに思います。

 そこで、一点だけさらに御確認させていただきたいんですけれども、先日のこの委員会でも、この外形標準課税について、今後、資本金一億円以下の中小企業にも広げていくお考えなのかどうか、この点を確認させていただきたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 外形標準課税の対象法人につきましては、これまでも大臣から答弁申し上げておりますけれども、与党の大綱に書いてありますように、引き続き慎重に検討していくということでございます。

梅村委員 つまり、否定はされていない、慎重に検討していくということだと思いますけれども、やはり中小に与える影響は大きいと思いますので、これはやはりやるべきではないということをここで訴えさせていただきたいというふうに思います。

 特に、税収の安定化ということが先ほども言われましたけれども、取りやすいところから取るという、そして、大企業に減税し、今回もその穴埋めとしてこの外形標準課税が拡大されようとしているわけですけれども、このやり方というのは、内需を冷え込ませ、逆に、税収の安定化にも逆行することではないかというようにも考えます。

 そこで、次に確認させていただきたいと思いますけれども、この外形標準課税の拡大について、衆議院の財金の方で我が党の宮本徹議員から質問し、総務省から試算を発表していただきました。資料1ですけれども、課税所得別の増減税額がどんなふうになるのか、その特徴点を簡潔に御説明いただければと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の外形標準課税の拡大によります一社当たりの負担の増減につきまして、資本金階級別及び所得階級別に平成二十五年度の課税実績をもとに機械的に計算をしたものが、お手元に委員から出していただいてあります総務省提出資料でございます。

 簡単に中身をかいつまんで御説明申し上げますと、資本金が一億円を超え十億円以下の法人についてでございますが、所得一億円以下では、約六千社、平均三百万円の負担増、所得一億円を超え十億円以下では、五千三百社、若干の負担減、所得十億円を超えるところでは、約千三百社、平均三千四百万円の負担減であります。欠損法人は、約四千八百社、平均三百万円の負担増、利益法人と欠損法人を合わせた全体で一万七千四百社で、平均百万円の負担減となっております。

 また、資本金十億円を超える法人について申し上げますと、所得一億円以下では、約八百社、平均千七百万円の負担増、所得一億円を超え十億円以下では、約千五百社、平均二千九百万円の負担増、所得十億円を超えるところでは、約二千社、平均六千七百万円の負担減でございます。欠損法人では、千六百社、平均五千五百万円の負担増でございまして、利益法人、欠損法人を合わせた全体で五千九百社、平均百万円の負担増となっているものでございます。

梅村委員 この表、大変わかりやすく総務省の方からつくっていただいたというふうに思うんです。

 全企業への影響はよくとんとんだというふうに言われますけれども、もちろん、赤字企業というのはここで見ても負担増になっているわけです。

 赤いところが負担増で、それ以外は負担減でありますけれども、きょう御指摘させていただきたいのは、赤字企業が増税になるだけではなくて、やはり黒字企業にも外形標準課税の影響が大変大きくあるということが、この表で新しく明らかになったかというふうに思います。

 特に、いわゆる課税所得一億円以下の企業については、例えば中堅でいえば、六千社あるわけですけれども、一社当たりが三百万円の増税になる。そして、資本金十億円超になると、八百社ありますけれども、一社当たり平均一千七百万円の負担増になる。それに対して、今御説明いただきましたけれども、大企業、十億円超の企業で課税所得も十億円を超えるところは何と負担減が一社当たりで六千七百万円にもなるということが、この表からも明らかではありませんか。

 この大企業の法人税の減税の穴埋めのために外形標準課税の拡大が行われるということですけれども、しかも、さらにこの中で、大企業がこれだけ、一社当たり六千七百万円も減税されて、一方で、赤字か黒字かぎりぎり頑張っているところが、この表で一目瞭然ですけれども、中堅でも一社当たり三百万円、こういう増税がかかるということは、大変道理がない話ではないかなというふうに思っているところです。

 それで、確認させていただきたいと思いますけれども、これは全体の数字ですけれども、やはりここは総務委員会ですので、地域経済に与える影響、こういうものを外形標準課税の拡大の中でどう分析し、どう議論されているのか、この点を伺わせていただきたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 外形課税におきましては、所得割の税率を下げ、外形課税を拡大し、全体として税収中立で設計をしているということで、平成二十七年度から外形課税の拡大に取り組んできているわけでございます。

 この一つの税制上の措置でどこまで雇用やら経済に影響があるかというのを捕捉するというのは、相当難しいだろうというふうには思っておりますが、そもそも外形課税につきましては、人件費が一定割合以上の企業、これは実は八割の企業に適用されていますけれども、雇用安定控除という仕組みが創設以来設けられておりますし、平成二十七年度の改正では、新たに、一定以上給与を引き上げる企業に対して配慮する所得拡大促進税制を導入しております。

 その上で、中堅企業の負担増につきましては、今回、外形が拡大することに伴います負担増がある場合でございますけれども、軽減する経過措置を講ずることとしておりまして、雇用の安定あるいは負担の変動にも制度の面で相当配慮をしております。

 したがいまして、今回の改正によりまして、雇用や地域経済に大きな影響があるとは考えておりませんが、しかし、二十七年度から拡大をしてきたということでもございます。改正後の税率に基づきます納税の状況、あるいは二十七年度に導入をいたしました所得拡大促進税制の成果等については、可能な範囲で把握をしてまいりたいというふうに考えております。

    〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕

梅村委員 影響がある場合は配慮してこの間いろいろな措置をとってきたということで、具体的にはつかんでいないということだというふうに思うんです。

 ただ、この表を出していただいただけでも、これだけの数の企業が、とりわけ中堅企業が増税になるということがわかっているわけですから、とりわけ総務省の調査において。それで、影響はそんなにない、つかんでいない。これでは、少し、少しといいますか、本当に地域の経済をどうしていくのか疑問に思いますけれども、この表が出ているんですから、影響はなくはないんじゃないでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 この表で言う例えば中堅企業が地方の都市で活動していて、非常に資本金が大きい大企業が東京で活動しているというわけではないんですね。東京に本社がある大企業の支店も日本全国にございます。中堅企業もいろいろなところに支店を持って活動しているわけでございます。

 したがいまして、どういう規模のどういう経営状況の企業にどういうような負担増、負担減があるからということが、一律に大都市部と地方部との関係でどうなるかという影響にすぐ結びつくということではないだろうというふうに思っています。

 私どもとしますと、いずれにしても、こうした改正をするに当たりまして、雇用等に悪影響を及ぼさないように、税制としての制度設計の中で配慮をするというのが重要だと考えておりまして、そうした点について、先ほど御説明申し上げたような措置を講じたところでございます。

梅村委員 具体的に調べてもいないのにそういう御答弁というのは、本当に不誠実ではないのか。やはり、現状を分析しないで、そういう対策だとか措置もとれないのではないか。

 私が再三これを聞かせていただいても、分析がないということですので、これはあくまでも独自の私たちの調査ですけれども、きょうの資料の二枚目で、私は北関東選出ですので、埼玉、栃木、群馬、茨城で、いわゆる有価証券発行企業について、三百人以上の企業に限ってですけれども、ちょっとまとめたり調べてみたりもしたんですね。

 このうち、北関東でどういうところがあるのか。大体、対象が八十七社で、茨城で八社、栃木で十六社、群馬で十八社、埼玉で四十五社ということで、総従業員が十九万三千三十六人というふうになりました。

 そして、この下にまとめた結果を書かせていただきましたけれども、今回の所得割の引き下げ、付加価値割、資本割の引き上げを差し引きしてみると、全体として四億円の増税となっています。特に、所得割は百三十五億円の減税に対して、付加価値割は八十四億円の増税、資本割は五十六億円の増税になっていくわけですね。

 特に大事だと思ったのは、差し引き増税になる企業、差し引き減税になる企業に分類してその従業員数を集計していくと、増税になる企業の方が従業員数が多い、十万八千三百八十四人。さらに、従業員の内訳に注目して見ると、正規、臨時職員の比率では正規比率の方が高い、今度増税になるということだというふうに思います。

 これはあくまでも、ないということなので、私たちなりにどういう分析ができるかということを努力してみた結果なんですけれども、やはり今度の外形標準課税は付加価値税の増税であり、従業員の多いところほど増税ですから、外形標準課税が強化された場合、賃金の抑制や一層の非正規化が地方ではかなり強く進む可能性があるのではないかという危惧があるんですけれども、その点はいかがでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、先ほど、企業、特に中堅企業の点について注目をされているというふうに伺いましたが、いただいている資料の一ページ目ですけれども、中堅企業全体を見れば、出していただいた資料でも平均では負担減になっているということにも注目いただきたいと思います。

 その上で、人件費等への影響についても御言及がございましたが、外形課税は、付加価値割につきましては付加価値額とそれから当該年度の収益を足しております。

 したがいまして、仮に、何らかの形で収益が上がってきたので、ボーナスなり職員の給与引き上げに使おうということになりますと、人件費部分がふえて付加価値額が計算されますが、収益の方がその分マイナスになりますので、全体としては変わらないということになります。逆に、人件費を下げて利益を多く出しても、実は変わらない。

 そういう意味で、そもそも人件費との関係では、中立的な設計が付加価値割についてはなされているということでございます。

 その上で、先ほど申し上げましたような雇用安定控除、人件費の割合が一定程度多い企業に対する配慮、それから実際に給与を引き上げた企業に対する配慮もしているというところについて、御理解賜りたいと思います。

梅村委員 質問は、地域経済にどういう影響を与えるのかということを質問しているのであって、御主張を繰り返されるというのは誠実に答えていただいていないというふうに思います。

 それで、一枚目の表に戻って今御答弁いただいて、差し引きしても負担減だと言いますけれども、私は、そもそも、黒字か赤字かぎりぎりのところで努力して、もう少しで抜け出せるような方々に対して、こんな三百万円も増税するんですかということを言っているんですよ。数字の机上のすり合わせなんかで、実態、地域の企業の方々はやっていないわけで、そこの苦労をどう見ていらっしゃるのかということを言ってこの表を出しているのに、もとに戻って、差し引きとんとんで減税ですなんということは、やはり答弁としていかがなものかなというふうに思います。

 先ほどの影響がないということも、それは税率が変わらないときにはそういうことがあるかもしれませんけれども、付加価値割と所得割のところでそれぞれ利益が入る中で、所得割では減税、付加価値割では増税となるわけですから、それは今後増税を前提にした場合には影響が出るという、大変なすりかえのことを言っていらっしゃると思います。

 これは、経団連さん自身も外形標準課税は賃金課税だということを言っているわけで、そこをしっかりと見て、地域の中小企業の皆さんに本当にどういう影響があるのかということを深刻に、重大に捉えてこの外形標準課税の問題はやらなければ、地域経済は破壊してしまう、そんな議論でこれを進めるというのは大変危険ではないかなというふうに私は思っているところです。

 地域経済の問題でいうと、先ほど御紹介した上に、私自身、例えば、増減税で増税になる企業、北関東で二十社を調べてみたんです。そうすると、トップ二社というのは電器のいわゆる大規模小売店が続いておりますし、あと、北関東は自動車の部品メーカーが大変多い状況があります。

 例えば、そこを見ていきますと、桐生で、自動車メーカーなんかでありますけれども、そこの会社というのは正職員を地域で三千九百八十二人雇用しているんですけれども、そこは付加価値割による増税によって一・四億円の増税にもなっていくわけですね。そして、群馬に本社のある電器の会社でいっても、付加価値割だけで十一億円の増税になっていく。そういう調査を私たちもさせていただきました。

 この付加価値税への増税ということを見ますと、これはやはり賃金、そして正規から非正規への影響はなくはない、調べれば調べるほどそういうことを思うわけですよ。

 ですから、きょうはそれを指摘させていただきつつ、総務省として、そういう調査をもっとすべきじゃないでしょうか。外形標準課税でどういうふうに地域の企業に影響があるのか、どの地域にどういう影響があるのか、それをせずして、大企業の法人税の減税の財源のために拡大していくというのは余りにも安易なやり方で、地域からGDPを押し上げるということとは逆行するのではないかなというふうに思います。いかがでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど委員はお話の中で中小企業という言葉も使われたので、中小企業については、先ほど冒頭申し上げましたが、与党の大綱に書いてあるように、対象法人については慎重に検討するという立場は変わっておりませんので、それを前提にしつつでございますけれども、この外形の対象となっている法人について、外形課税を拡大することによってどういうような企業がどういうようなことになるだろうかというのは、それはそれなりに分析はできるわけでございます。所得がこのぐらいあれば結果こうなりますね、それはわかるわけでございます。

 問題は、その一つのことをもってある地域の経済にどういう影響がというのは、それをどうやって分析するのかというのは、そこは、ある企業に係る税制上の措置がその当該企業に影響することはもちろん税制としてはありますけれども、それ以外に、グローバルな環境なりいろいろな環境も含めて当該企業の企業行動というのに影響されるわけでありまして、そういうことも含めて地域経済に影響していくというわけでございます。

 したがいまして、外形課税の制度の改正が地域経済にどういうような影響を及ぼすかということを、相当遠い距離がある話であるわけでありますから、その直接的な結果を分析するというのは難しい、困難だとは思います。

 したがって、こういうような税制改正をさせていただく以上は、そのことの影響ができる限り及ばないように、問題がないような解決策を考えなければいけないという中で、実際に、所得割は下がるけれども外形課税は拡大をする、この改革の中で、負担がふえる企業がございますから、その負担がふえる企業に対しての措置については、経済界からの御要請なり経産省からの御要請を受けて、経過的に軽減措置をする、かなり思い切った軽減措置も講じているわけであります。

 そういうことで、我々としては、今後は、この税制を改正した結果、それぞれの企業がこの税制のことでどういうような状況になっているのか、所得拡大税制がどういうように措置されたというふうになっているのかということを分析していくという立場だろうと思っております。

梅村委員 分析していないということだというふうに思います。ですので、地域経済に与える影響をしっかりと議論しなければ、慎重だとはいっても、さらに拡大を検討しているということですから、私は、やはりしっかりと分析していただきたいということを求めたいと思います。

 この北関東だけではなくて、全国的にちょっと調べてみましたけれども、東京や愛知に大企業の本社があるところは減税という傾向がありますけれども、北関東だけではなくて、九州や沖縄や北海道や東北など、地域ごとに見ていきますと、やはり地域に行けば行くほど大変厳しい状況もあるということも調査で感じておりますので、ぜひそこら辺は分析をしていただきたいというふうに思います。

 では、次の質問に移りたいと思います。

 次は、総務省が地方行政サービス改革として推進している、民間委託などアウトソーシングの問題について伺いたいというふうに思います。

 今度は、地方交付税の基準財政需要額の算定に、民間委託などの歳出効率化に向けた業務改革を進めている他の団体のモデルとなるようなものを反映するとしています。

 しかし、地方財政審議会では、「給与関係経費」のところで、地方公務員は大幅な減となっている、今後、少子高齢化への対応や社会的な支援が必要な人々へのきめ細やかな対応がますます求められていることを考えると、これまでと同じように地方公務員の数を減らすことに限界が来ているとの指摘もあります。

 このような指摘をどのように認識していらっしゃるか、また、交付税算定にその関係でトップランナー方式を導入しようとしているのか、目的について大臣に伺いたいと思います。

高市国務大臣 近年の地方財政計画におきましては、地方団体における定員の純減幅が縮小しているという実態等を勘案して、職員数の削減が抑制されてきています。

 一方、地方財政が依然として厳しい状況にある中で、引き続き行政の効率化を進めるために、民間委託などの業務改革の推進に努めることも必要だと考えております。

 こうした中で、地方交付税の算定におきましても、平成二十八年度からトップランナー方式を導入しまして、多くの団体が取り組んでいる業務改革について、その経費水準を基準財政需要額の算定基礎とすることにいたしました。

梅村委員 この間、やってきたこともあります。ですので、公的な業務を切り出すことが、公共サービスが生命線の地方にとって、本当の意味で住民にとって改革になっているのか、そういう検討をした上で、これも今後のトップランナーなどを検討すべきだというふうに私は思います。

 そこで、窓口業務について伺いたいと思いますけれども、トップランナー方式でも、来年度以降の検討業務としてこの問題が挙げられております。その中には、戸籍業務、住民基本台帳業務、税証明業務、福祉業務まで入っております。その際の留意事項について御説明いただきたいというふうに思います。公共サービスを切り出して業務委託を行う地方公共団体で、労働法上違法となりかねないケースはどのようなケースなのか、お答えいただきたいと思います。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの、労働法上生じ得る問題ということでございますけれども、労働者派遣法との関係で生じ得る問題ということでございます。

 地方公共団体の窓口業務などの公共サービスを民間委託される場合に、地方公共団体の職員である公務員の方が委託先の民間事業者の労働者の方に対しまして、業務の遂行あるいは労働時間等に関します指示を直接行った場合というようなケースにつきましては、いわゆる偽装請負ということになりまして労働者派遣法に違反するというケースが、生じ得る問題ということとしては考えられるということでございます。

梅村委員 きょうの配付資料3のところで、厚生労働省が公共サービスイノベーション・プラットフォームに提出した資料ですけれども、「公務員が実施すべき業務」として「交付決定等の「判断」」があり、それ以外を委託可能だというふうにしております。

 わざわざフローチャートを出して、ここまではできるけれども、ここはというような分類もされているわけですけれども、やはりフローチャートを出さなければいけないぐらいこういう問題がこの間現場ではあるのか、その点を伺いたいと思います。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的な実態の件数の把握ということではございませんけれども、労働者派遣法上、こういう民間委託をするということについては、先ほど申し上げましたような問題が生じ得るということでございますので、そういった問題が生じないようにということでの留意事項ということで、委託する業務の範囲を明確にするというような点についてしっかり留意をいただきたいということで、資料として御提出をさせていただいたというものでございます。

梅村委員 ですから、制度上こういうことが危惧されるということはやはりあるというふうに思うんですね。

 それと同時に、この今のフローチャートにも、民間委託は、「民間事業者が独立して完了することができる業務を委託すること」というふうにかなり明確に書いてあります。しかし、先ほど、地方財政審でも言われているように、支援が必要な人にきめ細やかな対応をしていくと。

 やはりこの窓口業務というのは、私たちも役所に行って思いますけれども、一番の住民サービス、住民の福祉増進の最前線にあるわけでありまして、こうした窓口業務ですら検証しなければならない点が生まれていると考えると、やはりこれはもう少し慎重に当たっていかなければいけないんじゃないかなというふうに思います。効率化だからどんどんやっていい、そういうことなのかということですね。

 例えば、以前、東京の足立区でも戸籍届け業務などを委託したんですけれども、東京法務局からの見直しを求める指示があって、東京労働局からも、偽装請負として、契約、判断基準書、業務手続書でエスカレーションと称する疑義照会が想定されていることへの是正指導がされてきております。

 こういうものが広がっていくと、やはりこういう危惧というのは生まれていくのかどうか、その点をお聞かせいただきたいというふうに思います。

渕上政府参考人 お答えいたします。

 国、地方を通じまして厳しい財政状況のもとで、質の高い行政サービスを効率的、効果的に提供する観点から、民間委託などの外部資源を有効に活用することは重要なことだと認識しております。

 しかしながら、御指摘のように法令違反があってはならないわけでございまして、昨年八月に発出いたしました、地方行政サービス改革の推進に関する留意事項という助言通知がございますけれども、その中の「民間委託等の推進」の項目のところで、まず、「委託先の事業者が労働法令を遵守することは当然であり、委託先の選定に当たっても、その事業者において労働法令の遵守や雇用・労働条件への適切な配慮がなされるよう、留意すること。」そして、「委託した事務・事業についての行政としての責任を果たし得るよう、適切に評価・管理を行うことができるような措置を講じること。」というふうに示しておりまして、御指摘のような法令違反の事態が発生しないように、私どもも助言してまいりたいと思っております。

梅村委員 同じような危惧は、この窓口とともに、学校給食についてもあろうかというふうに思います。

 ただ、学校給食については、今、食育ということで大変現場でも御努力が広がってきていると思いますので、まず、その辺の御努力の方から伺いたいと思います。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 学校における食育は、児童及び生徒の望ましい食習慣の形成及び健全な心身の成長を図るために極めて重要なものでございます。そして、学校給食はその中心的な役割を果たすものでございまして、食育の生きた教材として活用されているところでございます。

 文部科学省といたしましては、学校における食育の中核的な役割を担う栄養教諭の配置を促進いたしますとともに、学校教育における食育の内容を体系的に整理し、食事のマナーや正しく食事をすることの大切さといった基本的な内容や、食品の生産、加工、流通、食事と健康の関係、我が国の食文化といった食生活に関連する内容をまとめた教材の作成、配付などを行っております。

 また、さらに、地域と連携し、食育を重点的に推進するモデル校の指定などによりまして、食育の強化充実に努めているところでございます。

梅村委員 そういうのをやっていこうと思えば、やはり調理していらっしゃる方々と栄養教諭との連携というのは、アレルギーの問題だとか地産地消の問題だとか、大変大きくあるというふうに思いますけれども、その関係はどんなふうになっているんでしょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 学校給食の業務を民間委託するに当たりましては、学校給食の質の低下を招くことのないように十分配慮するということが必要でございますけれども、これとあわせまして、献立の作成は委託の対象にしないこと、衛生、安全の確保については学校設置者の意向を十分反映できる管理体制を設けること、設置者が必要と認めた場合に受託者に対して運営改善のための措置がとれるようにすること、受託者の選定を行うに当たっては、学校給食の趣旨を十分理解し、円滑な実施に協力する者であることの確認を行うことなどが必要と考えておりまして、こうした指導を行ってきているところでございます。

 また、そうした中で、ただいま先生の御指摘にありましたアレルギーの問題、それから地産地消の問題、そうしたものにつきましても、学校設置者側が委託をするに際しまして、受託会社側に明示をしておくということが必要になってくると考えております。

梅村委員 非常に密な連携が子供たちの健康、命にとっても大事だというふうに思うんですけれども、この分野も、そういうことがありながらも、民間委託ということで、いわゆる請負偽装問題、こういうことがこの間幾つか問題になってきたと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 こうした民間への委託ということに当たりまして、先生御指摘のように、関係法令に則して適切に運営される必要があるというふうに考えておるところでございます。

 また、こうした委託を行う場合でありましても、先ほど申し上げましたように、献立の作成は委託対象にしないということになっているわけでございますけれども、栄養教諭などが、地場産物の活用やさまざまな観点を考慮しながら給食の献立を作成し、また学級担任等と連携をいたしまして、給食の時間等で適切に食育の指導を行ってまいっているものというふうに考えております。

梅村委員 確認なんですけれども、幾つか事例はあるということでよろしいんでしょうか。

藤原政府参考人 具体的な事例については、これはむしろ制度所管官庁の厚生労働省の担当かと思いますけれども、私どもとして具体の事例について現在把握しているわけではございません。

梅村委員 ただ、この間、幾つかもう問題になってきていることだと思います。

 やはり、そもそも学校給食に民間委託がこのままずっと広がることがなじむのかどうかということも、改めて、今食育との関係で問い直さなければいけない、その上で検討していかなければいけないというふうに私は思います。

 そもそも、学校調理の民間委託を実施している市町村は五割強で、やはりそこには、先ほどの業務の関係とともに、現場から、父母や子供たち、地域の人たちから、温かいものを地産地消で、そういう願いがある、そういう取り組みの結果でもあるというふうに思います。

 先日お話を伺ったんですけれども、地方に行けば行くほど、給食が民間委託できるんだろうか、採算がとれないところに業者は入ってきてくれない、にもかかわらず、トップランナー方式で、頑張っている自治体が、そういう算定基準で挙げられ、自力で何とか給食を頑張っているところには光が当たらない、こういうやり方では、やはり地方をさらに痛めつけるものではないか。こういう声も伺ったところです。

 ですので、ぜひ、こういう問題をさらに捉えていただいて、このトップランナー方式というのはやはりやめるべきだと思いますし、安心した住民サービスを広げていただくことを最後に訴えまして、質問を終わりたいと思います。

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