梅村さえこ-日本共産党党中央委委員・子どもの権利委員会副責任者
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権利保護はかれない 梅村氏 個人情報の提供を批判

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 梅村さえこ議員は21日の衆院総務委員会で、行政機関が持つ個人情報を「ビッグデータ」として活用する仕組みを設ける行政機関等個人情報保護法改定案について、「国民の権利利益保護がはかれない」と批判し、廃案を求めました。

同法案は、行政機関の情報を個人が識別できないよう加工し、「非識別加工情報」として民間事業者に提供できるようにするもの。梅村氏は、公的なデータを営利目的に利用するのでは国民の理解が得られず、参考人からも懸念の声があがったことをあげました。

 さらに、梅村氏は、民間事業者が非識別加工情報を他のデータと「照合」を禁止するとしているが、「守らない事業者が出たらどうするか」とただしました。

 梅村氏はマイナンバー法の議論であげられていた①100%情報漏えいを防ぐ完全なシステム構築は不可能②意図的に情報を盗む売る人間がいる③一度、漏れた情報は流通・売買され、取り返しがつかなくなる④情報は集積されるほど利用価値が高まり攻撃されやすくなるーというリスクを指摘し、「あまりに危機感が薄い」と厳しく批判しました。

                          【「しんぶん赤旗」2016年4月26日付】

 

ー会議録ー○梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。

 早速、法案について伺いたいと思います。

 まず、法案の目的についてです。

 非識別加工情報の導入について、この委員会でも繰り返し、新たな産業の創出並びに活力ある社会の実現に資することが強調されております。

 しかし、この間の質疑や参考人質疑を通じ、まず強く感じることは、国の行政機関等が保有する個人情報を第三者、民間に提供するというリスク、不安を背負ってまでしようとする割には、本当にこの民間への個人情報の提供が、新たな産業の創出、活力ある社会の実現につながるものになるのかという疑問です。

 私の一昨日の質疑でも、政府参考人からは、法案成立後、各行政機関で提案募集の対象となる個人情報ファイルを特定して募集をする、現時点で、民間事業者から具体的なデータ名を挙げて要望いただくことは困難との答弁でありました。

 また、一昨日の参考人質疑でも、藤原参考人からも、具体的な可能性や効果について、検討会でも民間事業者へのヒアリングでも、これといってたくさん具体的な提案が現段階で出されたわけではない、医療、観光等で今後使えるのではないか、そういうものが想定される議論だったとありました。

 そこで、本当に高いリスクを背負ってまでやることか。経済成長、新産業の創出の切り札となるようなイメージは、これまでとても持ててきておりません。仮に、述べられていた観光や医療分野を挙げるなら、何より大きな個人情報のリスクを考え、国や独立行政法人の全ての個人情報を民間への提供対象とするのではなく、観光や医療など分野ごとに、あくまでも公益性を踏まえながら新産業の創出を進めるやり方もあろうかというふうに思います。

 大臣に改めて確認いたしますが、本法案は、個人情報保護への不安、リスクを抱えてまでして新産業の創出に本当につながるものなのか、具体的にお答えいただきたいと思います。

高市国務大臣 この法律案は、行政機関などが民間事業者からの提案を受けて非識別加工情報を提供する仕組みを導入するものでございます。ですから、民間事業者が創意工夫により、新たなサービスや事業を創出しようとする取り組みを後押ししようとするものでございます。

 この法案に言います新産業というのは、ビッグデータとしての匿名加工情報の利活用を通じて、現在では想像できないような産業の進展が起こり得ることを念頭に置いて述べたものです。これは、昨年の個人情報保護法案の審議の中でも政府から答弁がございましたけれども、やはり、今普通にある、すぐに想定できる産業ではなくて、ビッグデータを活用したらこんな思いも寄らなかったイノベーションが起きてくるんだよ、こういう姿を期待しております。

 では、新産業の創出に実際に資するのかどうかということを審査するのに当たりましては、非識別加工情報の利用目的及び利用に供される事業の内容が記載された提案書、それから、新たな産業の創出等に資するものであるということを明らかにする書面を提出していただくということにしております。あわせて、具体的な説明を求めるということでございます。

 今回の法律案、お認めいただきましたなら、産業界への丁寧な説明を行いまして、非識別加工情報の提供によって実際に新たな産業が生まれてくるという状況ができるように取り組んでまいります。

梅村委員 ただ、新産業の創出、これまでも考えていなかったようなことが生まれるかもしれないということですけれども、同時に、国や独立行政法人の公的データを提供していくということでいえば、また考えられないようなリスクも、そういうことでいえば起こりかねないというふうにも思うわけです。やはり私は、そこをもっと慎重にしっかりと、国民皆さんの個人情報に関することですから、慎重審議、しっかりと個人情報について、前提といいますけれども、本当にそれが担保されるのか、その議論が足りないのではないかということを指摘させていただきたいというふうに思うわけなんです。

 そして、この点にかかわって、これももう一度大臣にも確認したいと思います。

 参考人質疑の中で、坂本参考人から、商業目的あるいは営利目的で利活用するのは、本人の予測の範囲を逸脱した目的外利用であって、プライバシーの侵害のおそれがあるという御指摘がありました。

 これにかかわって、藤原参考人からは、公的部門の利活用を例えば商業目的と言ってしまうと、それは語感で反発をする、あるいは、公的なデータをビジネスということで考えていいのか、その一点張りで考えていいのかという御疑問があるのは私は無理からぬことであると思う、新産業の新たな創設等は、商業目的よりは、もう少し一段次元の高いといいますか、その結果公益にも資するというものですので、その観点から、民間部門の提案を受けるときに、まず対象情報を絞る、何でもかんでもいいということにはしないというふうに御指摘もありました。

 この点で、商業目的、営利目的や公的なデータをビジネスで考えていいのかという意見について、いかがお考えでしょうか。そして、具体化する際に、商業主義に陥らないことや公益に資するということを認定の重要な基準などにやはりするおつもりなのかどうか、この点を確認させていただきたいと思います。

上村政府参考人 お答えをさせていただきます。

 今般、御提案申し上げております非識別加工情報、これは確かに民間事業者による利用を予定しているものではございますけれども、単なる商業利用ではなくて、もう少し概念の広い、新たな産業の創出、こうしたものを法律の目的として掲げているということでございます。

 したがって、このような言い方が適切かどうかわかりませんが、一企業の利益ということだけにとどまらず、このビッグデータを活用いたしましたイノベーションを通じまして、社会全体の経済成長、活性化、そういったものが実現する、その果実が社会全体にもたらされる、そうした効果を想定しているというものでございます。

 また、イノベーションの結果、いろいろな企業の創意工夫、御努力によりまして、従来存在しなかったような、考えられなかったような商品それからサービスが生まれる、そうしたことは、国民生活にとりましても、利便が向上する、それから快適性が向上する、より安全なものになる、豊かな国民生活の実現にも寄与するということでございますので、単なるビジネス利用とかそういうものより、もう少し広い概念で御理解をいただければ幸いだと思います。

梅村委員 ただ、今回の法案の、現段階ではそういう基準についての具体的な問題はないわけで、今の御答弁で確認させていただきたいんですけれども、商業主義に陥らない、単なるビジネスではない、公益性をしっかりと認定の際には基準にしていくということでよろしいんでしょうか。

上村政府参考人 法律上の審査の要件では、そういうふうな新産業の創出に資するものであるか、見ることになってございます。

 ただ、具体的にどうやってそれを見ていくかということは、これから、個人情報委員会等の規則その他いろいろな形で決めていくということになりますが、基本的な法律の目的は今申し上げたとおりでございまして、それに沿った検討がなされていくものだというふうに考えております。

梅村委員 公的データであるということをしっかりと踏まえる必要があるというふうに思います。

 そして、同時に、そもそも国の行政機関等には、前回も質問させていただきましたけれども、その機関の性格や業務上、多くの個人情報が集まり、保有、管理をされている。つまり、行政目的として権力的に国民から提供を受けている個人情報である。だからこそ、行政機関には、個人の権利利益を保護するための適正な取り扱い、その保護を厳格に履行する責任と義務が課せられているというふうに思います。

 これまでの議論、今御答弁いただきましたけれども、民間企業の提案で個人の情報を利活用していこうとすれば、しっかりとここら辺は監視、そして慎重にしていかなければ、行政機関等がみずから個人情報の保護規制を緩める方向に走る危険がある法案だということを十分に認識して当たる、また、私たちは、そもそもそういうことで公的データを提供するということについては、やはりやるべきではないというふうに考えているところであります。

 続いて、国民の利益、権利について伺っていきたいと思います。

 先日、私の質問に対して高市大臣は、公的データの民間業者への提供について、今のやりとりでもございましたけれども、あくまで個人の権利利益の保護ということを前提に進めるということをおっしゃいました。つまり、今回そういうことを前提としているので大丈夫だということでもあろうかというふうに思いますけれども、その前提に進めるという点について、二つの御答弁があったかというふうに思います。

 一つは、対象となる個人情報を限定する、だから前提としている。また二つ目に、提案者において適切な安全管理措置が講じられているといったことについてきちんと審査を行った上で提供する仕組みをつくるということが、前回の御答弁でも挙げられております。

 しかし、私は、先日の参考人質疑も含めまして、こうした二点をもって個人の権利利益の保護がされるということでいえば、余りにもやはり不安が大きいのではないか。国民の皆さんに、これだから皆さんの権利利益の保護がされますよと言っても、なかなか不安は大きいのではないかというふうに、この間聞いていて思うわけです。

 そこで、この前提に進めるという点で幾つか確認したいんですけれども、一つは、要配慮規定について確認させていただきたいというふうに思います。

 この法案では、昨年の個人情報保護法の改正との並びで、行政機関等にも要配慮規定を設けました。法案には、「本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報」というふうに規定しているかと思います。

 しかし、ここで確認させていただきたいのは、やはりこれらは、そもそも、国等の行政機関が集めてはいけないような、本来制限されるべきような個人情報ではないかなと。実際、重大な案件がこの間少なくなくあるというふうに思います。特に、個人情報の保護といった場合、民間だけではなく、そもそも、この間の事案でいえば、公的機関が重大な事案を生んできているという点は、私は軽視はできないというふうに思います。

 例えば、二〇〇二年、先ほども少し触れられましたけれども、防衛庁の情報公開請求者の個人情報リスト、二〇〇七年の自衛隊の情報保全隊が市民運動等の情報収集を行っていた問題、また、二〇一〇年のインターネットへの流出で発覚した警視庁公安部のテロ捜査資料など、国が集めていたことが明るみに出て、この間、是非が問われてきたのではないかというふうに思います。

 こうした事例を見てみますと、要配慮規定があるから大丈夫では説明がつかないのではないかというふうに思います。集められるということが前提となっていることが重大であり、つまり、行政機関が把握できる情報として定義するには、この点、そもそも問題があるのではないかというふうに思いますけれども、この間の事例との関係も含めてお答えいただきたいというふうに思います。

上村政府参考人 お答えをいたします。

 要配慮個人情報、委員も御指摘のとおり、これが一旦不用意な使用等をされますと、本人に対する差別行為その他を助長するものでございますので、ほかの個人情報にも増して慎重な取り扱いが求められる、これはそのとおりでございます。

 ただ、その上で、行政機関、御承知のようにさまざまな所掌事務を遂行しております。その各般の所掌事務遂行の中で、どうしてもこうした要配慮個人情報に当たる、こうした情報を取得しなければならない場合はあるんだろうと思います。

 ちょっとそういう例を今申し上げるのがいいかどうかわかりませんけれども、犯罪の被害情報というものも、その先の犯罪予防のための施策のために収集するですとか、病歴情報でありましても、公衆衛生施策といいますか、疾病予防等のための施策、それからいろいろな企画立案のために必要な場合等ございます。そういう面、企画面、執行面、いろいろあると思っております。

 そういう意味では、行政機関の責務としてそうしたものを集めざるを得ない、それは従来と変わることがなく、今後とも同じであろうかと思っております。

梅村委員 行政機関の責務として集める必要がある問題だということでしたけれども、逆に言えば、そういうものを使って国民が監視をされ、いろいろな問題で情報収集されるという事態がやはりこの間もあるわけですよね。そういうこととの関係でどうなのかということを聞いているわけで、お答えいただきたいというふうに思います。

上村政府参考人 従来から、まず、これは個人情報一般でございますけれども、そもそも行政機関等におきましては、個人情報取り扱いというものについて、そういう意味では厳しく規制をかけておりまして、まず、所掌事務の遂行に必要な範囲でしか保有してはならないということになってございます。それから、目的外利用も原則として禁止でございます。それから、情報の御本人から何らかの開示請求あるいは訂正請求、利用停止請求があれば、これに応答する義務がございますし、さらに、不服申し立てということになりますれば、情報公開・個人情報保護審査会への諮問、こういう手続も定められております。非常に厳格な規律を設けた上で、適切に運用しているわけでございます。

 今回の法案の措置でございますけれども、今申しました規律に加えまして、御指摘の要配慮個人情報につきましては、本人が自己に関する情報の利用の実態をより的確に認識し得るようにするために、こうした要配慮個人情報が含まれている場合には、個人情報ファイル簿にその旨を記載し公表をする義務、これを行政機関等に新たに課すことにしたものでございます。

 これによりまして、透明性を確保いたしますとともに、行政機関の現場におきましても、要配慮個人情報が含まれる、そうしたことを明確にそれぞれの職員が意識した上で、より適切な取り扱いがなされることにつながるものだと考えております。

    〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕

梅村委員 質問に対して、ちょっと答えていただいていないというふうに思うんですね。

 適切に処理をしていると言われながら、この間、相次いで、国のデータを使って市民活動への監視だとか、そういう問題があるわけで、やはり今でもそういう問題が起こっているから、国民は不安に思っている。それが解決もしていないのに、公的データが民間に提供されていくことが進んでしまっていいのかということを、私は繰り返し質問をし、ぜひ御答弁いただきたいなというふうに思っていたわけなんですね。

 そもそも、行政が情報を集めていいか、これについても国民的な議論が残されています。不安も今述べたようにあるわけであります。私は、このような状況のまま、徹底審議をしないで、この法案が国民に十分知らされないまま決められていくというのは、信頼を得なきゃいけないのに、逆に、個人情報をめぐって国への信頼をなくしていくことになるのではないかというふうにも思い、やはり強引なやり方はやめるべきではないかなというふうに思うわけなんです。

 この点でさらに伺いますけれども、この要配慮個人情報と定義された情報が記載されたファイル簿がどのように扱われていくのか、これから今までとは変化があるのかを御確認させていただきたいと思います。

上村政府参考人 個人情報ファイル簿と申しますのは、各省庁がそれぞれ自分の持っている個人情報の取得目的、概要等を、それからどういう項目が含まれているかというのを一覧性を持ってお示しした、ある種の表のようなものでございますけれども、その中に、要配慮個人情報がこの中には含まれているということを何らかの形で記載する、そういうことを今考えているところでございます。

 この個人情報ファイル簿というのは公表されるということになっております。

梅村委員 ファイル簿にその旨を明記していくということですので、これから具体化ということですけれども、それが記載されてどんなふうにもしかしたら使われるのか、そういうことについてもやはり国民的には不安な一つだというふうに思います。

 そこで、次に伺いたいというふうに思います。

 非識別加工情報についてですけれども、先ほど、要配慮との関係では、ファイル簿に記載されるということは今御答弁でわかりましたけれども、法改正の非識別加工情報の対象とならないもの、法案はどのような扱いになっているのかを御答弁いただきたいと思います。

上村政府参考人 まず、行政機関の保有している個人情報であるということから始まります。その上で、たった今も申し上げました個人情報ファイル簿、これが公表されているものが対象となります。

 逆に言いますと、公表されていないものは加工対象にならない。例えば、国の安全、外交上の秘密等々を記録する個人情報ファイル、また、犯罪捜査等のファイルはこうした対象になりません。

 それから、その次の条件といたしまして、情報公開請求があったならば部分開示はされるものであるということでございます。

 これは、当然個人の識別性をなくした上で、そのなくした残りの部分に個人の権利利益を場合によって侵害のおそれがあるというふうなものについては、それを除く。あるいは、やはり先ほどの個人情報ファイル簿の不公表と似てくるところがあるわけですが、国の安全、犯罪予防、それから事務事業への支障、そういった情報につきましては、今でも部分開示もされない、全面不開示という扱いになっているものにつきましては、今回の加工の対象にはならない、こういうことになってございます。

梅村委員 そういうことを各省庁の判断でこれから具体化していく、そして法律ではなく、施行令や運用に今後はどの適用をされるかということは委ねられていくということかというふうに思いますけれども、それでよろしいんでしょうか。

上村政府参考人 法律上の要件は、それぞれの行政機関個人情報保護法及び情報公開法に記載をしてございます。情報公開法でございましたら五条に第一号から第六号までそれぞれ記載がございますし、行政機関個人情報保護法は十条二項に一号から十号までございます。

 それに当たるかどうかという具体的な判断は、委員おっしゃるとおり、それぞれの行政機関が個々に判断していくという部分はあると思います。それの具体的な決め方等々につきましては、そういう意味では運用の部分というのもあるというふうには考えております。

梅村委員 ですので、これからがまだまだ、国民の個人情報との関係では慎重にしていかなければいけない部分が大変多い法案だというふうに思います。

 さらに、非識別加工情報をめぐってちょっとお伺いしたいというふうに思います。

 行政の機関内では個人情報として取り扱われるが、非識別加工を施した情報は、個人情報ではない、安全な情報として民間事業者に提供されるという点もやはり深められなければいけないというふうに思います。

 だから提供可能との説明ですけれども、そもそもこの点では、個人情報保護に基づき匿名加工情報として照合できない情報として扱われるというふうに思いますけれども、裏を返せば、照合すれば大変危険であるということを法案そのものがおっしゃっている。

 照合を特別な措置として禁止する契約を事業者にするということだというふうに思いますけれども、もしそれを守らなかった事業者が出たらどうするのか。また、やはり最初から危険性を前提とした法案になっているのではないか。その点はいかがでしょうか。

上村政府参考人 基本的には、非識別加工情報、民間事業者に渡れば匿名加工情報というふうになりますが、他の情報と照合をして識別ができないように、そういう加工をするということではございますけれども、いろいろな現在の情報処理技術の進展とか、そういうのを考え合わせますと、全くこれがどんな手段を用いても復元ないし照合が不可能であるということまでは言えないということでございます。

 そこを担保するためと申しましょうか、照合禁止義務をかけている、こういうふうに理解しておりまして、基本的には安全なものでありますが、念のためこういう規制をかけて、そこを担保しているというふうに御理解をいただければと思います。

梅村委員 安全なものだけれども念のため担保してということも、やはりここもなかなか、個人情報の保護という点では十分理解されるんだろうかという点だというふうに思います。

 実は昨年六月の参議院の内閣委員会で、私たち日本共産党の山下芳生参議院議員が、個人情報とマイナンバーをめぐって、四つのリスクという問題を提案させていただきました。

 一つは、一〇〇%情報漏えいを防ぐ完全なシステム構築は不可能ではないか。二番目が、意図的に情報を盗み、売る人間がいる。三番目に、一度漏れた情報は流通、売買され、取り返しがつかなくなる。四番目は、情報は集積されるほど利用価値が高まり、攻撃されやすくなる。こういう提案をさせていただいて、政府などもこれを認めるような、論戦の中で、いろいろ御議論させていただいた経過があるというふうに思います。

 まさにこの四つのリスクということを踏まえた場合に、照合を禁止する契約をするでは、余りにも危機意識がどうなのか、対策となっていないような気もいたしますけれども、その点、いかがでしょうか。

上村政府参考人 安全性ということでございますけれども、先ほどお答えしたとおりであるのですが、通常の技法、技術におきましては、これは識別はできないというものでございますので、繰り返しになりますが、これは基本的には、安全なものとして取り扱っていただけるというものだと思っております。

 それから、どういう表現をしたらよろしいのか、悪意がある、あるいは意図を持ってそれを復元する、識別をしようとする者に対する対策ということでございますが、基本的には、私どもの今御提案している法案では、まず一つには、これは何度も御説明をしておりますけれども、提案者の欠格条項というものを定めております。

 過去、この法律の違反があった方あるいは刑罰を受けた方、その他いろいろございますが、そうした者をまず一次的には欠格条項として提案者から排除をする。その上で、これまた何回か答弁はさせていただいたところでございますが、利用目的、それから安全管理体制、その他いろいろ、契約を結ぶに当たりまして、提案の審査をさせていただくということになっております。

 先ほど大臣からも答弁がありましたように、事業の計画書でありますとか、どのようにイノベーションに結びつくのか、これを審査した上でお渡しするということでございまして、そういう意味では、当然のことながら、興味本位の利用でありますとか、場合によっては反社会的な利用というのは、もう当然、審査の過程ではねられるということになります。

 その上で、さらに契約内容におきまして、適切な使用、あるいは不正な使用をした場合の措置等々を盛り込むことがこれから考えられるわけでございまして、こうした手だてを通じて、私どもの法律の方では、そういう意図ある方への対策ということを考えているところでございます。

 それから、これも繰り返しになりますが、一旦、民間に出たこの情報は、個人情報保護法の匿名加工情報として個人情報保護委員会の監督を受けることになります。こちらの委員会は、これも御承知のとおりでございますが、資料、説明の聴取、それから立入調査、勧告、命令、命令違反の罰則までかかっております。

 そうした、いわば二重、官民からの監督、監視という措置がかかっているものだと思っております。

 それから、一度出てしまった情報というのは、これは情報の性質上、そうなんでございますが、基本的に、私どもの今御提案している法案では、契約を結んで、お渡しをし、手数料をいただき、目的を審査し、欠格条項を見てということでございますので、基本的に、その契約いただいた相手、提案事業者にのみ使っていただく。さらにそこからどこかほかへ出ていくということは極めて例外的な、しかも、事前に中身をお聞きして、契約条項にそれを盛り込むというふうにしてございます。

 したがいまして、転々流通するということは当然のことながら考えていない、こういう仕組みにさせていただいているということでございます。

梅村委員 四つのリスクということで御紹介させていただきましたけれども、その点、やはり非常に危機意識がいかがなのかなというふうに思わざるを得ません。

 そして、今御答弁がありましたけれども、今回の法案に基づいては、かなり各省庁が今後行う仕事が、しかも、個人情報をめぐって重たい仕事が課せられていくというふうに、今の御答弁でも改めて思いました。

 事前のレクチャーでは、いわゆる提案してもらったのを認定していく作業も含めて、ふだんの行政運営に支障が生じないことを前提にしていくというふうになっていますけれども、ふだんでも各省庁の皆さん、忙しく、さまざまお仕事をされているというふうに思うんです。

 本当に、国民の公的データを、一旦漏れてしまったら重大な人権侵害にもなるというような重い仕事を現在の体制の中でやっていく、そういう担保があるのかどうか。また、そういうことができるのかどうか。苦情の処理なんかも行っていくということもお仕事の一つとなっておりますね。本当にやっていけるものなんでしょうか。

    〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕

上村政府参考人 今回、この法案を御成立いただきましたら、これも繰り返しになりますけれども、法律の目的であります新産業の創出、活力ある経済社会、それから豊かな国民生活の実現、こういう大きな目的に向かった政策として実施していくものでございますので、そこは、各省庁いろいろ、おっしゃるように人員その他の資源の制約はございますけれども、これは全力を尽くして取り組んでいくということになる、当然そういうことになるものだと考えております。

 付言をいたしますれば、私どもの所管している法律でも、情報公開、それから行政不服審査、あるいは個人情報保護に関するいろいろなお申し立てもございます。それは、一々、そういう言い方もあれではございますけれども、労力、時間、経費もかかる作業をやっているわけでございます。それは、私どもの通常の業務をやっていく中で真摯に対応しているつもりでございますので、そうした姿勢あるいはやり方というのはこの法律においても同じでございますので、そこは変わることがないのであろうと思っております。

梅村委員 そうしますと、今までと比べて、今度の法案に基づくリスクというようなものはそんなに高くないという御認識ですか。リスクはやはり高くなっていくという御認識なんでしょうか。

上村政府参考人 リスクが高くなるかという御質問でございますか。ちょっと済みません、よく御質問の御趣旨があれでございましたけれども、こういうことをやることによりまして行政の扱ういろいろなリスクが高くなるか、こういう御質問でございましょうか。

 済みません、ちょっと申しわけございません、よく御趣旨を理解しておりませんでしたので、もしよろしければもう一度お願いをできますでしょうか。

梅村委員 今までにはない、公的データを民間に提供していくという、新しい、今までやったことがないことに今後踏み出そうとしているわけですよね。ですから、個人情報をめぐって、やはり今回の措置によって、今まで聞いていると、大丈夫だ、安全だ、そういう感じの御答弁が多いわけです。しかし、新しい分野に今後踏み出そうとしているわけですから、そのもとで新たなリスクが生まれるという認識はないのですかということを確認させていただきたかったんです。

上村政府参考人 質問の御趣旨をちょっと正確に理解しているかあれでございますけれども、二つのことをおっしゃっているのかなと。全く新しい分野に乗り出すことによるいろいろな情報処理上のリスク、それから事務運営上のリスクということかと思います。

 二つあわせてお答えするならば、まず、先ほどからもお答えしていますように、提案対象となる個人情報の範囲、これは限定をするわけでございます。したがいまして、そこが個人情報保護法の規定それから情報公開法の条件と完全に一致するわけではございませんが、非常に機微な情報それから秘匿性の高い情報というのが全て加工されるというわけではございません。そこはある程度のスクリーニングがかかる。

 それから、これも繰り返しになりますけれども、どんな方でも提案できるというわけではございません。それは、欠格条項、プラス、しっかりしたビジネスプランをお持ちの提案者の方に提案をしていただくということでございます。

 そういう意味では、まず、情報の性質、それから、これはもうるるここで繰り返しませんけれども、各種講じておる安全管理措置、それからそういった情報の対象となる情報の範囲の質的、量的な制約、あるいはそのビジネスプランを具体的に提出いただける方といいますか、企業の方がどのぐらいのものであるかというものを総合的に予測しませんと一概には言えませんけれども、当然、私どもとしては、通常の業務をこなしつつも、これはやっていかなくてはならない仕事でございますし、そのリスクにつきましては、今申し上げたようなことで十分対処ができる、当然そういうことの前提のもとに御提案をしている、こういう法案でございます。

梅村委員 そうしますと、国民にとってはやはり今までにないリスクは考えられる、しかし、十分な体制をとっていきたいという御答弁だったというふうに思います。

 しかし、今回の法案を見ておりますと、そこら辺が、十分体制としてもやっていけるのか、後で第三者委員会の問題も触れさせていただきますけれども、その体制も含めて、やはり非常に不安が多く残る分野だというふうに思うわけなんですね。

 次に移りたいというふうに思います。

 それで、今後の地方公共団体がこの法案をもとにしてどうなっていくのかという問題について、確認をさせていただきたいというふうに思います。

 事前のレクチャーの段階でも、これから省令などを決めていくというようなことも伺いましたけれども、また、今の地方自治体での個人情報の保護の行政と、今後、この法案に基づいて地方公共団体などがどのような流れになっていくのかというのをお伺いしたいと思います。

原田政府参考人 お答えいたします。

 我が国の個人情報保護法制におきましては、地方自治体は条例により規律がされておるところでございます。

 個人情報保護法におきましては、地方公共団体の責務としまして、この法律の趣旨にのっとり、その地方公共団体の区域の特性に応じた個人情報の適正な取り扱いを確保するための施策の策定、実施を規定する。あわせまして、その具体化としまして、地方公共団体が保有する個人情報の性質、保有目的を勘案した適正な取り扱いが確保されるよう必要な措置を講ずることに努めなければならないと規定されているところでございます。

 今回の法案が成立した暁には、地方公共団体は、今回の法案、また改正個人情報保護法の趣旨を踏まえまして、地域の特性に応じた個人情報の適正な取り扱いを確保すべく、条例の見直しなど、必要な措置を検討することとなると考えております。

梅村委員 そうしますと、この法案の趣旨に基づき、各自治体の判断だとしつつも、今でも一〇〇%の地方公共団体でこうした個人情報の条例がつくられているというふうに事前に聞いておりますし、こういう趣旨に基づいたことをしていく。

 具体的に言えば、非識別化をして、地方公共団体が持っている個人情報のファイルなどに基づいて民間事業者にも提供していく、そういう取り組みが進むということでよろしいんでしょうか。

原田政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申しましたように、個人情報保護法におきましては、法律の趣旨にのっとり、区域の特性に応じた適正な取り扱いを確保するための施策の策定、実施を規定しておりますので、地方公共団体は、今回の法案が成立した暁には、この法案の趣旨、また改正個人情報保護法の趣旨というものを十分に踏まえていただきまして、それぞれがこの制度の具体的な内容等々につきましても十分理解した上で、適切な対応をとっていただけるものと思っております。

 私どもは、そのために、関係機関とも緊密に連携をしまして、制度の仕組み、またその細かい細部の具体的な内容、また運用方法などにつきましても、丁寧に情報提供をしてまいりたいと考えております。

梅村委員 参考人質疑でも、ビッグデータという観点でいえば、もちろん、国や独立行政法人の情報もそういう対象であるけれども、より地方自治体が持っている情報が大変膨大で、しかも住民に密着をしている、よりいわゆる個人情報の保護が求められるような情報も多いという指摘もあったかというふうに思います。

 そこで、確認させていただきたいんですけれども、附則の四条では、今回、「一体的に利用されること」という記述があり、これまでの条文にはなかった記述かというふうに思います。これは、今回の法案における国、独立行政法人の保有する個人情報を、今後は地方公共団体も一体的に利用されるよう、その促進のための措置を講じるというような認識でいいのかどうか。

 また、違うのであれば、この「一体的」というのが新しく入り、どういうことなのかということを御説明いただきたいと思います。

上村政府参考人 御指摘をいただきました附則四条は、個人情報の取扱事業者、それから国の機関、地方公共団体等が保有する個人情報につきまして、一体的に利用されることが公共の利益の増進及び豊かな国民生活の実現に特に資する分野につきまして、個人情報の一体的な利用の促進のための措置を講ずることを定める、こういうものでございます。

梅村委員 事前のレクでは、そういうことじゃないんじゃないかということですけれども、やはり今の説明だと、一体的に今後活用を促進していくという御答弁だったというふうに思います。

 ただ、それにしては、事前に、地方公共団体などで例えば情報漏えいがどれぐらいあるのか調べていらっしゃいますかというふうに聞きましたら、総務省としてはそういうことは、収集というか集めていないというような御答弁もあったんですね。

 前回、私の質問で、国レベルでも、行政機関が五百三件だとか、独立行政法人などが五百七十二件の案件があると、情報漏えいなどの実態が。国でもこれだけあるわけで、私は、地方の方が、体制がよりない、専門家がいない、そういうような御苦労もあると思うので、いろいろな問題が、住民の皆さんとの関係では本当は慎重にならないといけない問題がより一層あると思うんです。

 そこら辺は、こういう一体ということを言うのであれば、まずは現状をつかんで、必要なことは何かということをやるのが前提じゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

原田政府参考人 お答えいたします。

 いずれにしましても、地方公共団体におきましては、このパーソナルデータの活用に関しまして、今回の法案、また改正個人情報保護法の趣旨を踏まえて、地域の特性に応じて必要な措置を検討することになるということでございますので、私どもとしましては、地方公共団体のこの趣旨についての理解が深まるよう、関係機関と密接に連携をして、適切に情報提供することによりまして、個人情報の適正な取り扱いが確保されることを期待しているところでございますし、地方公共団体から御相談があれば、必要な情報提供も行うなど、丁寧に対応してまいりたいと思っております。

 また、附則四条に関しましては、またそれは別の観点からの検討であろうというふうに理解をしております。

梅村委員 そうしますと、地方公共団体は、この法案のもとでは、今後、匿名加工情報の作成も含めた作業も必要になっていくんじゃないかというふうに思うんですけれども、そういった体制がそもそもあるのか、セキュリティーは大丈夫なのか、また、自治体の新たな財政負担は生まれないのか、この点はいかがでしょうか。

原田政府参考人 繰り返しになりますけれども、いずれにいたしましても、地方公共団体は、今回の法案、改正個人情報保護法の趣旨を踏まえて、地域の特性に応じて必要な措置を検討することになります。

 今後、今回、国の公的部門における匿名加工情報制度の仕組み、こういうものの詳細が決まってまいることとなろうと思っておりますし、運用なども出てくると思われますので、そういうことについても地方公共団体に対しまして逐次丁寧に情報提供してまいることで、地方公共団体の理解を深め、その中で検討していただくことになろうと思います。

梅村委員 では、そういう検討の中で、例えば、自治体の判断で、自分のところはまだまだ体制もないし、管理、セキュリティーが不安だということで、今回の公的データの提供などしない、そういう判断をするということもありということでよろしいんでしょうか。支障はないということでよろしいんでしょうか。

原田政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、地方公共団体は、個人情報保護法制の中で、その趣旨にのっとり個人情報の保護の確保をしていくことが求められておりますので、そういう法の精神、趣旨にのっとって対応していくものと考えております。

梅村委員 自治体の意見は、不安とか、できないといった場合にどのような対応をされるんでしょうか。

原田政府参考人 繰り返しになりますけれども、関係機関と十分連携をした上で、丁寧に情報提供をしてまいりたいと考えております。

梅村委員 個人情報、とりわけ、今も申しましたように、国以上に、本当に地域住民に密着する情報をたくさん持っているのが地方公共団体だというふうに思いますので、より慎重に、そして、先ほどもお話ししましたけれども、実態をつかんでいないということでしたので、やはりしっかりと総務省としても実態を把握し、自治体の困っていることなどもつかみながら、打開しながらやる、そういうことも必要ではないかというふうに思います。

 時間の関係で、最後になります。

 先ほども第三者委員会についてありました。公聴会でもこれについて厳しい指摘がありました。最初、全てをこの第三者委員会、個人情報保護委員会でというような話もあったかというふうに思いますけれども、途中からそうではなくなっていったというような経過も聞きました。

 この点、いかがでしょうか。しっかりと個人情報保護委員会の方で行っていくという点、なぜしなかったのか、御答弁いただきたいと思います。

古賀大臣政務官 今の御指摘の点、個人情報保護委員会についてでありますが、今回の改正は、非識別加工情報が行政機関等から民間事業者に提供されるものでありまして、国の行政部門と民間部門の監視、監督を同じ機関が行うことが合理的であるという判断で、個人情報保護委員会に一元化したものであります。

 一方、行政機関等における個人情報の取り扱いにつきましては、今回の改正は、法の基本的な構造を変更するものでないことから、現行の体制を変更することとはしていないところであります。

 なお、個人情報の保護に関する法制のあり方につきまして、今回の改正法の施行状況等を踏まえて検討することとなっておりまして、監督体制についてもこの検討を踏まえて対応していくことになる、そのように承知しております。

梅村委員 身内との批判もありますので、やはりしっかり独立した機関を個人情報をめぐっては設けるべきだというふうに私は思いますし、しっかりとした体制をつくることを最後に申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 

 

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