梅村さえこ-日本共産党党中央委委員・子どもの権利委員会副責任者
地方自治

区画整理予算の確保を 住民合意でも長期化

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  日本共産党の梅村さえこ衆院議員は5月24日、総務委員会で、住民合意がある区画整理事業にもかかわらず、長期化し、住民生活に深刻な影響を与えている事態を告発し、予算確保を求めました。

 梅村氏は、埼玉県の蕨市、川口市、さいたま市の例を紹介。蕨市の事業は認可から33年がたち、移転完了までさらに30年以上も要すると指摘し、社会資本整備総合交付金が5年前と比べて4割減、交付率も90%から33%まで激減しているからだと追及。国土交通省の清水喜代志官房技術審議官は「地域のニーズが多様化し、要望すべてにこたえられない」と答弁しました。

 梅村氏は「あと20年、30年も待たせるつもりか」「リニア新幹線などではなく、生活密着型予算のパイを増やすべき」と強調。清水官房技術審議官は「把握に努力がたりなかった」とし、住民のニーズを自治体とともに把握し、予算も十分応援していけるようにすると約束しました。

 梅村氏が、交付金が減らされる中で自治体が一般会計から繰り入れている問題を指摘したのに対し、高市早苗総務相は「住民の方々の人生にかかわる状況が生じている。国庫補助の確保がのぞましい。総務省としても適切な地財措置をおくれないようにしたい」と答えました。

【「しんぶん赤旗」2016年5月28日付】

 

ー会議録ー

梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。

 きょうは、区画整理事業並びに地方財政について伺いたいと思います。

 住民合意があり、住民の皆さんがなるべく早くと願っている区画整理事業にもかかわらず、三十年、三十五年といった大変長い時間がかかる場合が生まれております。四半世紀にもわたる長期化によって、住民と地域に与える影響を深刻に受けとめていただきたいと思います。

 私の地元の埼玉県蕨市の錦町土地区画整理事業ですけれども、一九八三年に事業認可を受け、八六年から家屋移転が始まり、既に三十三年です。膨大な事業のため、一気に進めることができませんが、この間、一般会計からの繰り入れをふやすなど努力が行われ、道路整備も進んでまいりました。それでも、二〇一六年三月末現在の進捗率は、移転棟数ベースで五九・七%。近年の家屋移転は年当たり二十棟程度にとどまり、残り六百十九棟の移転完了まで三十年以上を要する事態となっています。

 先日、その地域を訪ねてみました。子供が中学生になり、子供部屋を欲しいのに増改築ができない、身体的にも、家計的にも、精神的にも、もう限界だ、うちの地域は最後の最後になりそう、三十年後とは考えられない、この中途半端のまま死んでいくしかないのか、こういう声が出されております。

 さらに、問題なのは、近所の家が古くなり倒れてくるのではないかと心配、行きどまりの道で消防車が入ってこられないのは不安だなど、地域の防災の観点からの不安もふえていることが特徴だと感じました。

 そこで、国交省に伺いますが、このような住民の皆さんの長期化に伴う声は、もちろん認識していらっしゃるということでよろしいのでしょうか。

清水政府参考人 土地区画整理事業についてお答えいたします。

 土地区画整理事業は、公共施設の整備改善と、それから宅地の利用増進、利便性の向上を図る事業でございまして、地域における生活環境の改善や利便性の向上、地域の活性化等に寄与するものと認識しております。

 ただ、このような住民の皆様の願いに対しまして、時間がかかり過ぎてしまいましてということは大変残念なことでございまして、事業がおくれることにより、事業の効果が早期に出せない、地域のニーズに応えられないということ、そういうふうな影響があると考えております。

 また、あわせて、土地区画整理事業は建物の移転や道路等の工事を伴うものでございますので、事業が長引くことにより、住民の皆様のふだんの生活等、そういったものにも影響が及ぶものと考えております。

 したがいまして、国土交通省といたしましても、可能な限り早く土地区画整理事業を進めていくということは非常に住民の皆様の生活にとっても大切なことだと考えております。

梅村委員 今後さらに三十年、四十年と長引かせてはならないという立場に立つということでよろしいでしょうか。確認させていただきたいと思います。

清水政府参考人 お話がございましたように、土地区画整理事業を住民の皆様のためにできるだけ早く進めていくということが非常に重要だと考えておりますので、本当に、一年でも二年でも縮めていけるように努力してまいりたいと考えております。

梅村委員 ところが、この数年、その進捗率が非常に落ちている、ペースが落ちているという不安の声、現状の声を聞いているんですけれども、その要因はどこにあるのでしょうか。

清水政府参考人 お答えいたします。

 土地区画整理事業、現在、社会資本整備総合交付金という仕組みで国から支援をしてございます。この制度は、地方公共団体にとって自由度が高く、創意工夫を生かせる制度として平成二十二年度に創設されたものでございますけれども、この社会資本整備総合交付金、平成二十二年度からの二カ年、かなり減少いたしました後、現在のところは、予算額がほぼ横ばいで推移しております。

 ですから、区画整理に対します予算もそのような流れでございますけれども、その中で、中心市街地の活性化とか、あるいは公共交通の充実とか、景観とか観光への取り組み等、地域のニーズがさまざまに多様化いたしておりまして、全国的に非常に要望が増加しております。そういったことから、現在、地方公共団体からの要望全てにはお応えできていない状況にございます。

梅村委員 横ばい、要望が高いということですけれども、だからといって、この区画整理事業が、もう二十年、三十年、四十年と待っているわけですから、やはりその進捗がおくれてはいけない。もし足りないのであればやはり確保しなければ、住民の皆さんの人生や、そして地域の防災との関係でも、もう一歩も引けない状況にあるという認識にぜひ立っていただきたいというふうに思います。

 同時に、横ばいということでしたけれども、私が幾つかお話を伺った地元の自治体では、むしろ、この交付率というのが、額も率も下がっているという悲鳴を上げている自治体が大変たくさんありました。

 例えば、地元の蕨市なんですけれども、この交付金は、二〇一〇年度一億六千万円だったのが、二〇一三年度には一億二千二百万円、二〇一四年度には一億円、そして、二〇一五年度にはついに一億円を切って九千三百五十二万円、およそ四割の減少になってきているわけですね。そして、交付率で見てみましても、二〇一〇年度は九〇・三%だったのが、二〇一五年度には三二・七%まで落ち込んでいます。

 それは要求金額が高くなったというような事前のレクチャーでもありましたけれども、若干高くなっているかもしれませんけれども、ただ、実際の交付金そのものがもう一億円を切っているという状況です。それで、その結果、移転の戸数、二十五戸の予定が六戸縮小して十九棟。

 例えば、お隣の川口市なんかでも、里土地区画整理事業については、合併前の鳩ケ谷市時代、国が、県の補助金が減らされてきたことが大きな問題となって、そのおくれの要因だということが議会でも問題になっておりました。

 また、今回、さいたま市の区画整理事業も調べさせていただいたんですけれども、二〇一〇年、総事業費の二〇・七%あった国費が、二〇一四年度には一五・七%ということで、約五%、やはり事業費が減ってきているわけです。

 ですから、横ばいというようなことをおっしゃいましたけれども、もう待ちに待って待っている。特に目新しい、新しい重点施策については今回の交付金が投入されているのかもしれませんけれども、系統的に長年こつこつとやってきた事業こそなかなか交付金が回っていないということが、私は実際にはあるのではないかなというふうに思います。

 それで、全国市長会からも、こういう地方の計画的な事業執行に支障を来すことのないよう、社会資本整備交付金については十分な予算を確保し、適切に配分するよう提言が出されているかというふうに思います。

 それで、予算の限界があるというふうに言わずに、例えばリニア新幹線などは、いろいろな議論がありますけれども、約九兆円も予算がつけられていくということですので、そういう大型公共事業ではなくて、やはり密着型の、毎日の皆さんの暮らしにかかわるものについては本当に予算を確保して、予算のパイをふやして、あと二十年、三十年も待てなんということを住民の皆さんには言わないでほしいということをお願いしたいと思いますけれども、その点、いかがでしょうか。

清水政府参考人 先ほども少し触れさせていただきましたけれども、現在、都市整備に関しましては、中心市街地の活性化とか、それから公共交通、例えば鉄道駅をきれいにしたいとか、バス路線をスムーズにしたいとか、そういったこと、あるいは景観とか観光のためにそういった取り組みをしたいとか、さまざまなニーズがふえておりまして、そういう全体のニーズに対応するためにそれぞれの各事業におきましては交付する額が下がっているということで、地方公共団体の皆さんの要望にはお応えできていない状況にあるのではないかと思っております。

 ただ、先ほどから御指摘いただいておりますように、土地区画整理事業が住民の方の生活に密着した非常に重要な事業であることは認識いたしておりまして、我々もこういう重点的にやるべき事業ということの把握に加えまして、住民の皆様がどのように生活の上でお困りになっているか、あるいはどのようなニーズをお持ちになっているか、そういったこともよく自治体の皆様とともに把握いたしまして、予算等につきましても、そういったところに十分応援していけるように、そういうふうな工夫もしてまいりたいと考えております。

梅村委員 長期化している問題については、国交省としては、いろいろ現地に行って調べたりだとか対応とか、実際にどんなふうにされているのでしょうか。

清水政府参考人 全国、たくさん箇所がございますので、直接行くというのはなかなか難しいですけれども、自治体の皆様からよくお話を伺って把握に努めております。

 残念ながら、蕨の件につきましても、そういった努力が足りなかったのではないかと思っておりますので、今後、市の皆様、そういった方からも実情等をお伺いいたしまして、できるだけ住民の方のニーズ、それから生活への影響等が少なくなるように、我々の方もその支援を工夫していけるかと考えております。

梅村委員 これは、私の地元だけがよくなればいいとかということで質問しているわけではありませんけれども、努力が足りなかったということを今この場でおっしゃっていただいたわけですから、こんなに要求額に対して交付率だとか、金額ももう一億円を切っているという急激な予算の削減になっているわけですから、ぜひ改善を求めたいと思います。こういうことで悩んでいる自治体はたくさんあると思いますので、ぜひ実態を調べていただいて、改善を図っていただきたいというふうに思います。

 それで、この点は地方財政にとっても大変重要な問題になっているというふうに思います。全国市長会からも提言がありますし、先ほど御紹介したように、川口市、もと鳩ケ谷ですけれども、区画整理事業に約四割を一般財源から繰り入れてやってきた。蕨でも一億減ったわけですけれども、その分を丸々一般財源から出して補填をして、住民の皆さんに影響が出ないようにしてきている。

 そして、ある自治体の担当者の方に聞いたんですけれども、計画延長の際に国からは早く進めるようにというふうに指摘をされる、にもかかわらず、進捗を早めるにも見合う交付金がない、市の財政も楽ではない、そして事業が長引けば長引くほど、工事にかかる費用はともかく、人件費や土地や道路などの維持管理費なども余計かかっていってしまうわけで、やはりこういうやり方をしていれば、市の財政もこのままでは立ち行かなくなるという悲鳴がもう上がり始めてきているのではないかなというふうに思います。

 ですので、地方財政のあり方との関係でも、ぜひ総務大臣の方からもここの点での改善を図っていただきたいなというふうに思いますけれども、区画整理事業が大変長期化して四半世紀にもなっているという問題、まちづくりの問題、そして地方財政との関係での御認識をぜひ最後に伺いたいと思います。

高市国務大臣 一般的に申し上げましたら、地元の合意形成が必要な事業というものについては、その合意形成がなされた際には、やはり地方団体ができる限り事業を速やかに実施することができるように、国庫補助負担金などの予算が適切に確保されるということが望ましいと思います。

 今委員が御指摘のようなケースでは、お一人お一人の住民の方々の人生にかかわるような状況が生じているということですので、御質問の土地区画整理事業につきましても、やはりそういったさまざまな現場のニーズをしっかりと踏まえて、まずは国土交通省において社会資本整備総合交付金の所要額をしっかり確保していただくということが望ましいと考えております。

 総務省としましては、国庫補助負担金に伴う地方負担につきましては、適切に地方財政措置を講じることで、地方団体の財政運営や事業の進捗に支障を生じることがないように対応をしてまいります。

梅村委員 三十年、四十年と長引かせてはならないとの立場で、抜本的な交付金の拡充、改善を求めて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

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