梅村さえこ-
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国の責任が後退する 電波法改定案 航空無線局検査ただす

 

 梅村さえこ議員は、6日の衆院総務委員会で、電波法改定案について質問しました。同案は、航空機に搭載する無線局の年1度の国の定期検査制度を、保守点検の規定が認定されれば国の判定の対象外とし、事業者まかせにするものです。

 梅村氏は、「2020羽田空港増便計画」で空の安全への不安が住民に広がっていると指摘。今回の検査制度改定は航空事業者の負担軽減の要望で検討が開始されたもので、2014年の「中間報告」では5年間の調査で「無視できないほどの不具合がある」とされたことをあげ、規制緩和ではなく、国の責任と取り組みの強化こそ必要だと提案しました。総務省の富永昌彦総合通信基盤局長は、「故障率は高い」と認めながら、「低減するために恒常的な点検が必要だとした法案」と答弁しました。

 梅村氏は、航空会社が自社に厳正なチェックができるかどうか疑問だと厳しく批判。さらに、保守点検の頻度や体制、基準などの検討はこれからとされていることにふれ「いったん事故が起きれば多くの人命を失う安全に関わる問題。検査の国の関与を後退させるべきではない」と迫りました。

 高市早苗総務相は「人命にかかわる重大なものと承知している。総務大臣が認定するが重い責任を負う」と述べました。

【「しんぶん赤旗」2017年4月13日付】

 

ー会議録ー

○梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。
 きょうは、電波法改正案、航空機局の無線設備について質問いたします。
 まず、空の安全は、今、国民、市民の大きな関心、そして不安事になっていると思います。二〇二〇年、羽田空港増便計画で、埼玉県南部での飛行計画、また住民からの不安の声があるか、お答えください。
○和田政府参考人 お答えをいたします。
 我が国の国際競争力の強化、また急増する訪日外国人旅行者の受け入れ等の観点から、羽田空港の機能強化は必要不可欠と考えており、飛行経路の見直し等によりまして、発着枠を、二〇二〇年までに約四万回、一日当たり五十便になりますけれども、拡大することを目指しております。
 これを実現するためには、できる限り多くの方々に御理解をいただくことが重要と考えておりまして、現在、説明会の開催で、御理解を得るべく努力をしているところでございます。
○梅村委員 事前に御質問すると言った内容が全然お答えになっていないんですけれども、こういう住民説明会を行っていると。そういうところは飛行ルートとして考えているというところに近づいていると思うんですけれども、埼玉県は、飛行ルートと考えられるさいたま市、川口市、草加市、越谷市、蕨市、戸田市、朝霞市、和光市、八潮市、吉川市、松伏町と連絡協議会をつくっています。
 きょう、首都圏がどんな飛行ルートになるのかという国交省の資料を示させていただいておりますが、埼玉南部だけではなく、まさに、今まで東京湾、海から離着陸が行われていたのが、首都圏、皆さんの上空の上を通って今後離発着が行われていく。
 こうした中で、埼玉南部では、風の向きによっては、A滑走路では四分に一機、C滑走路では二分に一機の頻度であり、高度も約九百メートルから千二百メートルであるという説明がされております。さいたま市南区で行われた国主催の説明会には、二百六十人、二百十人とそれぞれ市民の参加もあり、特に、騒音や落下物、万が一の墜落による被害、大変な不安の声が上がっており、計画は見直しすべきだと考えます。
 こうした航空機の飛行に対する不安が広がる中での今回電波法の改正、航空機局の検査体制の変更を行うものだと思います。そこで、まず端的に変更の内容を御答弁ください。
○富永政府参考人 お答えを申し上げます。
 今回の法案の中で端的に変更の内容を答えると申しますれば、今まで、航空機局に関しましては、年一回定期検査をやっていたわけでございますが、この定期検査に加えて、あらかじめ点検等のやり方を大臣の認定を受けることによって常時点検をできるような体制を組んでおいて、点検をしっかりやっていただいた場合に検査を省略することができるということで、従来の検査コースに加えて、新たに点検のコースを加えさせていただくというようなものでございます。
○梅村委員 加えさせていただきますということですけれども、資料を見ていただければわかりますけれども、一年に一度、これまで定期検査を受けて、その報告書を総務省に提出して、一〇〇%国がかかわって、合否判断を今までは仰いでいたと思うんですけれども、今後は、航空事業者が日常の予防的整備や管理で担保する体制を整えていると総務大臣が認める場合、定期検査は必要ない、報告のみになるということだというふうに確認できると思います。
 こうした変更は、安全性が大変危惧されるものだと考えます。
 事前の総務省の説明では、今回の改正案へのターニングポイントとなった、二〇一六年三月の航空機局の定期検査に関する第五回評議会の議事録がきょうもいまだ公表されていないということになっているようで、どうしてそういう大きな検討をされた評価会の議事録がきょうもいまだ公表されないままこの審議が行われるのか、強く指摘をしておきたいというふうに思います。
 同時に、事前にそういう御説明だったので、私なりにいろいろ調べてみましたが、当初、二〇一二年の七月十日の規制・制度改革に係る方針の閣議決定において、航空機無線設備の定期検査の制度の見直しについて、検討会を立ち上げることが決められました。そして、その二〇一二年度中に検討、結論を得ることとされましたけれども、そのときの検討の一つとして、電気的特性の点検、つまりベンチチェックですね、これを年一回の定期検査から周期を延長するということが当初検討するとされていたということは、事実で間違いないでしょうか。
○富永政府参考人 お答え申し上げます。
 航空業界の一部からは、年一回やっておりました定期検査につきまして、その頻度を延長するというような要望がございました。そういった要望も踏まえまして、二〇一三年の段階で、私ども総務省において、評価会ということで、検討する会議を開催したものでございます。
○梅村委員 航空業界からは、大変な負担だということで、点検の期間をもう少し長くしてほしいということだったというふうに思います。ただ、これはやはり安全性がしっかりと担保をされなければできない問題だというふうに思うわけですね。
 それで、この結論が今日まで来ているということは、当初、結論を出すのよりは非常に議論が長引いているというのは私たちから見てもわかるんですけれども、何で長引いたのかということについて、やはり無線機器の信頼性がその間に大問題になってきたのではないか。
 特に、私、調べてびっくりしたのは、二〇一四年七月の中間報告を見たんですけれども、そこでは、無線機器の信頼性、各社最大五年程度、定期検査及び通常運航時のふぐあいデータ調査を調査、結果、無視できないほどのふぐあいがあることが明確だというような記述が、資料の中では、中間報告で出てくるわけですね。今からわずか二年半前の中間報告で、無視できないほどのふぐあいがあるということが言われているわけです。
 さらに、では、どういう無視できないほどのふぐあいかということを調べてみますと、A社からJ社までずっと一覧となっていて、そして定期検査、通常運航時の検査、それぞれのふぐあい件数が一覧となっているんです。
 通信不能や他の通信に影響を及ぼす事象に直接つながったレベル一から、レベル四まであるわけですけれども、例えばB社では、六年間で、電波高度計などで、定期検査時において、レベルが、十二件など、計二百十三件もふぐあいがある。通常運航時でも、気象レーダーなど計二百三十五件もある。J社でも、五年六カ月で、定期検査で六百三十四件、通常運航時で六百六十八件のふぐあい件数となっているという一覧が、事実、発表をされているかというふうに思います。やはり、これは重大な結果だというふうに思うわけですね。
 多分、こういう結果も踏まえて、何とかしなきゃいけないということで、この間されてきた結果だと思うんですけれども、では、それが二年半たって今改善されているのかということでいいますと、その後の資料を見ていきますと、例えば、中間報告以降の作業チームの検討状況と今後の検討の方向性についてという案を見る限りでは、A社は、二〇〇八年から二〇一三年度での定期検査時におけるふぐあい発生率は九二%だったのを、二〇一四年度には八五%にしたとあります。少なくなったかもしれないけれども、A社については、皆さんが出している資料、報告書の中ですけれども、それでも二〇一四年には八五%のふぐあい発生率だと。B社については、二〇一四年度のふぐあい発生率七四%を、二〇一五年度の第一・四半期には二三%に低減したとあります。ですから、この資料では、いまだふぐあいの発生は大きい状況だというふうに述べているわけです。
 しかし、その会議で、なぜかその検査体制を、一年に一回ということをさらに変えて、冒頭御説明のあった一回の点検をなくして、そういう設備状況、点検状況があれば認可をして、報告だけにしていくという制度にしたかというふうに思います。しかも、私が言いたいのは、その重要なターニングポイントとなった会議の議事録が、私たち、見ることもできないわけですね。
 では、安全性についてはどのように議論されて今日になっているのか、しっかりと安全性を担保して今回の改定を出してきているのか、その点についてお答えいただきたいと思います。
○富永政府参考人 お答えを申し上げます。
 先ほども委員から御指摘のありましたように、私の方からも申し上げましたけれども、もともと私どもで平成二十五年に評価会を開催いたしましたのは、航空業界の一部から、定期検査の周期を長くしてほしいという要望があったからでございます。
 実際に、平成二十五年に航空機局の定期検査等に関する評価会というものを開催いたしました。その中では、専門家の皆様方も当然いらっしゃいますし、消費者に近い方もいらっしゃいました。そういう検討を行っている途上で私どもがわかりましたのは、故障率などのさまざまな技術的データを出していただきました結果、先ほども委員から御指摘ございましたけれども、故障率が一定程度高いといったことがわかったわけでございます。
 ですから、当初は定期検査の周期を長くしてほしいというような要望を受けて開催したこの評価会でございましたが、むしろ、二十五年の、中間報告の段階では、定期検査にかわる恒常的な点検整備を実施することが望ましいという趣旨の中間報告を出していただいております。
 したがって、ほかの評価会におきましても、しっかりと故障率といったものを見据えた上で、こういう恒常的な点検が大事だというような結論を出していただいたものと認識しております。
○梅村委員 これだけ今御答弁があったような大きな不安がある、安全性に。であるならば、やはり、事業者任せではなく、むしろ国がもっと、航空会社を超えて、どういうところに故障があるのか、どういうメーカーに問題があるのかというのを、もっとデータを集めて、そして、国が責任を持ち、航空機の電波機器の安全性を高めていくことが、逆に私はもっと強めるべきだと思います。
 それを、国のそういう年に一回の点検、これまでは一〇〇%合否を与えていたという関係だったと思いますけれども、それが今度なくなるわけですよね。しかも、日常的な対策をしてもらうんだというんですけれども、航空会社に技術的にチェックする能力があっても、自社の航空機の搭載無線設備に対して厳正なチェックができるかどうかというのは疑問。第三者的なそういう機関が本当にできて、ちゃんとチェックができるのか、そこら辺は大変大事なところではないかなというふうに思っております。
 その点はいかがでしょうか。
○富永政府参考人 無線局の検査につきましては、国が実際にみずから検査を行うというやり方に加えまして、登録検査等事業者制度というものを持っております。これは、民間の能力のある皆様方に、検査するという道を開いているわけでございます。
 実際に、航空機局に対しましては、この登録検査等事業者制度を活用して、民間の能力のある事業者が検査をしておるという実態が現時点でもございます。
 以上でございます。
○梅村委員 能力があるところが今までもやってきて、報告書を出して許可を受けるということだったのではないかなと。なのに、なぜそういうふぐあいがデータ的に発表されているのかということは、とても矛盾を感じます。
 時間の関係で、今後の問題になりますけれども、能力のある検査体制があるかどうかというその規程の認定の内容は、今回の法案でどういうふうに想定されているのか。
 また、確認の頻度はどのように考えていらっしゃるのか。
 また、日常的な点検整備ということでいうと、PDCAサイクルのことだというふうに思いますけれども、では、今まで一応年に一回やってきたわけですけれども、日常的というのなら、これからその検査が一回よりも多くなるのか、二回、三回行われる担保があるのか、この点は改正案の中ではどんなふうに想定されているのでしょうか。
○富永政府参考人 委員の御質問、今回の新しい制度によりまして、点検する体制、しっかりしているのか、点検の頻度はいかがか、そういった御質問だったと思います。
 今回の制度におきましては、あらかじめ点検のやり方を認定するわけでございますが、認定の基準といたしまして、保守規程をつくっていただく際に、この保守規程の中身が、総務省令で定める時期ごとに無線局の基準適合性を確認するといったものであること、これが一つあります。それからもう一つ、無線局の基準適合性を確保するために十分なものであることということを確保することとしております。
 現段階では、まだ具体的な認定の要件といったところまでは至っておりませんけれども、今後、法律の施行までの間に、専門家の御意見なども聴取しながら、しっかり認定の要件をまとめていく予定でございます。
 それから、無線局の点検の頻度につきましては、現在の定期検査の時期、頻度などを勘案いたしまして、電波の質が維持されるように具体的な周期を検討してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○梅村委員 今御答弁があったように、無視できないほどのふぐあいがあることが明確だということで、安全性の議論をされてきたと。しかし、年一回の定期検査と一〇〇%国が行ってきた合否判定をなくすこと、これは決める。あとのいわゆる審査基準だとか内容だとか認定の中身については、今後、政省令だとか審査基準で決めていく、この法律を通した後で決めていくと。
 それでは、国民の皆さんから見たら、本当に安全性が担保されるのか。逆に言えば、政省令を変えれば規制緩和がもっとどんどん進んじゃうじゃないかというような不安にも私はなっていく問題だというふうに思います。
 これだけ危険性が、たった二年ぐらい前に議論されてきた問題ですから、しっかりと、安全性の担保なしに、私はこの法案というのは強行すべきではないというふうに思います。
 そもそも、電波法の目的は、電波の公平かつ効率的な利用を確保することによって公共の福祉を増進することだと言っています。一旦事故が起これば多くの人命を失う航空機の安全にかかわる大問題ですから、やはり今の時点で、国の関与を無線機の点検について後退させるべきではないのではないかというふうに思います。
 最後、総務大臣に伺いたいと思います。
○高市国務大臣 航空機に搭載される無線設備の安全性確保というのは、委員おっしゃったとおり、人命にかかわりますから、非常に重要なことでございます。それは重々承知をいたしております。
 ちなみに、航空法におきましても、航空機の整備などにつきましては、既に航空運送事業者が、国土交通大臣の認可を受けた整備規程に基づいて日常整備などを行っているという状況でございます。
 今回、確かに、年に一回の検査のかわりに日常的な点検整備ということになりますけれども、これはもう安全をしっかり担保していただくということ、特に、総務大臣が認定をするわけでございますから、かなり重い責任を私どもも負うわけでございます。
 今後、認定制度の詳細につきましては総務省令で定めることになりますが、この省令の整備に当たりましては、電波監理審議会の諮問事項でもございますから、電波の質が維持されて、航空機の安全性が確保されるという形で、電波監理審議会の審議をいただき、そしてまたパブリックコメントによる御意見もいただきながら、詳細な制度整備を行ってまいります。責任を持って、そして安全性に十分配意をしながら進めてまいります。
○竹内委員長 申し合わせの時間が来ていますので、短くお願いします。
○梅村委員 質問を終わります。ありがとうございました。

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