梅村さえこ-日本共産党党中央委委員・子どもの権利委員会副責任者
地方自治

窓口業務委託を批判 梅村議員「地方自治体の破壊」

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  日本共産党の梅村さえこ議員は18日の衆院総務委員会で、地方独立行政法人法改定案で窓口業務を公権力の行使も含め丸ごと委託できるようにすることは、地方自治体破壊につながると厳しく批判しました。

 梅村氏は、前日の参考人質疑で、参考人が自治体の窓口業務は憲法に基づく基本的人権を保障する場だとした発言に言及。地方独立行政法人は自治体が設置し、理事長や業務運営所、目標も自治体の長が任命するもので、自治体窓口で直接業務をおこなう方が簡単だと指摘しました。

 梅村氏が「地方独立行政法人で窓口業務をやるメリットはあるのか」とただしたのに対して、安田充自治行政局長は「効率化が期待できる。働き方および給与の柔軟な設定ができる」と答弁。梅村氏はさらなる「官製ワーキングプア」や偽装請負の発生の恐れがあると指摘し、「業務を複雑にするうえに非効率だ」として、税金の取り方、使い方をただして財源を確保し地方自治体が安心して、直接窓口業務ができるよう求めました。

【「しんぶん赤旗」2017年5月27日付】

―会議録ー

○梅村委員 地方独立行政法人改正法案について伺います。
 昨日、板橋区役所の委員会視察、また昨日の参考人質疑、大変重要であったと思います。関係者の皆様に感謝申し上げますとともに、こうした中で出た説明や意見などを踏まえて質問をいたしたいと思います。
 まず、板橋区役所の視察や昨日の太田真庭市長などの意見を伺い、新たに加わったマイナンバーを初め地方公共団体の仕事量が非常にふえている一方で、この間の定員削減などがある。このもとで、各地方公共団体がいかに住民サービスを維持向上していくのか、大変な御苦労を抱えながら、懸命に各地で業務に当たっておられることを強く感じました。
 しかし、問題は、窓口業務を独立行政法人に委託することをその解決の選択にしていいのかということだと思います。
 そこで、少し順序を入れかえて御質問いたします。
 まず、安田自治行政局長に伺いたいと思います。
 昨日の参考人質疑で、窓口業務とは、そもそも住民と自治体をつなぐパイプ、地方自治の要衝であり、住民生活の出生から死亡まで、重要な場面において憲法に基づく人権を保障する、大変崇高で重い業務であるということが福島参考人からありました。
 そして、その窓口業務を自治体から丸ごと切り出してしまうということは、地方自治、住民自治、住民の福祉の増進という役割、機能を大きく後退させる大変重大な問題ではないかという問題提起があったと思います。
 そこで、窓口業務とこうした憲法に基づく基本的人権保障の関係や重み、こういうことについて、参考人からあった意見についての受けとめを伺いたいと思います。
○安田政府参考人 お答えいたします。
 昨日の参考人質疑の中で、窓口業務は非常に重要な業務であるという指摘があったと承知しております。
 私どもといたしましても、市町村の窓口業務は、出生から死亡まで、住民が行政サービスを受ける身分の証明または権利もしくは義務の確定もしくは変動の基礎となる行為が含まれる重要なものでございまして、かつ、特に適切な実施が求められるものと認識しているところでございます。
 ただ、これについて、一切、民間委託あるいは今回の地方独法による業務を行わせるというようなことができないかというと、そういうことではなくて、適切な監督のもとでこれは実施することができるもの、このように考えているところでございます。
○梅村委員 窓口業務そのものの重要性や重みについては確認できたかというふうに思います。
 そこで、さらに、昨日、参考人から触れられた、地方独立行政法人とはそもそも何なのか、特に第二条が挙げられておりました。
 第二条の中で、「地方公共団体が自ら主体となって直接に実施する必要のないもの」、それを地方独立行政法人の業務の対象とするということがあるわけですけれども、この記述が二条にあるということは、窓口業務を今回追加するということは、窓口業務を地方公共団体が直接に行う必要のない業務とするのか。必要のないのか、直接。そのことについて伺いたいと思います。
○安田政府参考人 お答えいたします。
 今般の改正法案におきましては、窓口業務のうち定型的に処理することができる事務につきまして、地方独立行政法人に行わせることを可能にしているものでございます。
 この窓口業務には、申請、届け出の受理、書面等の交付決定など、専門性は高いけれども、定型的な業務が多く含まれておるわけでございます。今般、市町村からのきめ細やかな関与のもとで、これらを行わせる等の措置をとることによりまして、必ずしも地方公共団体がみずから直接実施するのではなくて、地方独立行政法人が実施することを可能とするものでございますけれども、いずれにいたしましても、みずから直接に実施する必要があるかどうかは、市町村において判断されるものというふうに考えているところでございます。
 一方、窓口業務の中には、例えば、住民基本台帳の作成など市町村長がみずから処理することを明らかに予定しているものでございますとか、住民の居住実態に関する調査など裁量性のある判断の余地が大きい非定型的な事務がございまして、これらにつきましては、地方独立行政法人の対象業務とはせずに、引き続き市町村職員が行うべきものとしているところでございます。
○梅村委員 みずから自治体が判断するものだということであるという答弁がありました。
 しかし、法律的には、地方独立行政法人の業務の対象について、「自ら主体となって直接に実施する必要のないもの」として、それを新たに今回、窓口業務を加えたわけですから、結果的に判断をするのは地方自治体かもしれませんけれども、国としての法律のたてつけとしては、直接実施する必要がないものの範疇として、今回初めて法律的に窓口業務については明記をしたというふうに読めるのではないでしょうか。
○安田政府参考人 お答えいたします。
 地方独立行政法人法第二条第一項で地方独立行政法人の定義を記述しているわけでございますが、ここでは、「地方公共団体が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるものと地方公共団体が認めるものを」、このように書いているわけでございまして、この定義規定は変わっていないわけでございます。
 窓口業務につきましても、それをこの規定に沿って地方独立行政法人に行わせるのか、それとも従来どおり市町村が直接実施するのか、これにつきましては市町村が判断するということでございます。
○梅村委員 法律としては、みずから自治体が判断するといいながら、やはりそれを対象にしているということは間違いないことだというふうに思うんですね。
 そして、今、「民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるもの」という答弁が既にありましたので、これについて引き続き伺っていきたいと思います。
 この「民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるもの」というのは、つまり、メリットがない、本来は民間に委託していい業務なんだけれども、委ねた場合に必ずしも実施されないおそれがあるものということで、委ねた場合を前提としているというふうに思うんですね、この書きぶりというのは。その場合、では、民間がなぜ実施されないおそれがある場合があるのか。つまり、それは民間が、メリットがない、営利が上がらない、引き受けない、そういうものについては、独立行政法人がその部分をやるということになってくるのではないかというふうに思うんですね。
 それでは、地方独立行政法人の設立資金、運営資金は誰がどう出すのかということについて、続いて御答弁をお願いします。
○安田政府参考人 お答えいたします。
 まず、地方独立行政法人への出資は、これは地方公共団体でなければ出資できないということになっておりますので、通常の場合でございますと、設立団体が出資していくということになると思います。
 また、その運営費につきましては、運営費交付金ということで、これも設立団体、まあ他の団体の業務を受ける場合にはそちらの団体からもということになると思いますが、そういうことになると思います。
○梅村委員 では、続いて、前回御答弁いただいたときに、公権力の行使を含む窓口業務が地方独立行政法人でできるようになる理由について、地方独立行政法人は、組織、運営の根幹について地方公共団体の関与が制度として担保されているという御答弁があったと思います。この根拠は地独法の十四条から来ているのではないかという御説明が事前にありますが、この内容を端的にお答えいただきたいと思います。
○安田政府参考人 お答えいたします。
 今、委員御指摘ございましたのは、十四条、役員の任命についての規定でございますが、これはもちろん、役員の任命につきましても、理事長は設立団体の長が任命するということになっておりまして、まさにそれは設立に関して地方団体が関与するという一例になるかと思います。
 ただ、これ以外にも、例えば、定款を定める場合において、これは設立団体の議会の議決を経て定めるということになっておりますし、それから、一般の独立行政法人ですと中期目標の設定でございますとか、今回の窓口独法でございますと年度目標の設定ということになりますが、こういう目標につきましても、これは設立団体の方から指示して設けるということになっておりますので、そういう意味で、設立団体の関与が強いものがあるということでございます。
○梅村委員 つまり、今の御答弁をずっと聞いておりますと、地方独立行政法人は、自治体が設置をし、理事長は長が任命をする、業務方法書も目標も自治体の長が指示をする、設立資金も運営のためのお金、交付金も自治体が出す。そして、窓口業務の場合は、収入といってもほとんど手数料なので、必要経費からすれば非常にわずかな収入しかない、ほとんど自治体の丸抱えでなるわけだと思います。しかも、住民訴訟がもし起これば、独立行政法人の理事長ではなく、自治体の長に責任があり、自治体の長が訴訟相手になるということだと思います。
 こういう一連を考えると、どうしてわざわざ地方独立行政法人をつくって自治体の窓口業務を移管するのか。よっぽど直接やった方がすっきりするのではないかというふうに思うわけですよね。それでもあえて地方独立行政法人で丸ごとやるメリットというのは端的に言ってどこにあるのか、お答えいただきたいと思います。
○安田政府参考人 お答えいたします。
 地方独立行政法人に行わせるメリットは何かというお尋ねでございます。
 地方独立行政法人は、行政から独立いたしました自主的、自律的な業務執行が可能でございまして、そういう意味で、業務運営の効率化、住民サービスの向上といったものが期待できるのではないかというふうに考えております。
 具体的には、職員の勤務条件や給与などにつきましても、地方公共団体の職員よりも柔軟に設定ができます。例えば、夜間、休日の窓口対応でございますとか、繁閑期に応じた人員配置などが期待できるというふうに考えております。
 また、継続して窓口業務を担うことによりまして、窓口業務に係るノウハウの蓄積でございますとか専門性の確保が図られるといったこともメリットだというふうに考えているところでございます。
○梅村委員 専門性が図られるかどうかというのは確証がないというふうに思います。
 しかも、今、柔軟な働き方が可能になるというふうに御答弁がありましたけれども、これは大変聞こえはいいですけれども、やはり人件費の抑制のためということが非常に一つの大きな目的にあるんじゃないかというふうに思います。
 先日視察した板橋区役所、ここで説明を受けました。窓口業務の民間委託によって、窓口には、自治体の正規職員が八十人に対し、委託職員が七十人から八十人、委託費用が二億九千三百万円というふうに聞きました。正規職員の標準的な給与が年六百八十万円というふうな説明がありました。そうすると四十三人しか雇えないんだけれども、民間委託をすれば七十人から八十人を雇えるという説明がありました。
 確かに、業務運営からすれば、これは効率化ということが言えるかもしれませんが、単純にしても、一人当たり年三百七十万円の収入になっていく、人件費になっていく。さらに、実際には企業が経費や利益を差し引けば、ここに働く人たちというのは三百万円や二百万円台で働いているということになっていくわけですね。
 まさにこうしたやり方が、この間、官製ワーキングプアとかワーキングプアをつくり出して、今働き方改革が大問題になっているんじゃないでしょうか。二十代、三十代の方々が結婚もできない、子供も産めない、生活できない、こういうような流れをやはりもうつくってはならないというふうに思うわけですね。幾ら効率化であっても、こういうふうな、働き方をさらに悪化させていくようなやり方の余地を残すことがあっていいのかどうか、この点についてさらに伺いたいと思います。
○安田政府参考人 お答えいたします。
 地方独立行政法人の職員の勤務条件につきましては、民間企業従事者と同様に、労使交渉による設定ということが原則になってまいりますので、給与水準がどのように決まるかということは、この交渉の結果ということでございますので、一概に、どういうことになるのかというのは申し上げることはできないということでございます。
○梅村委員 一概に言えないと言いますが、板橋の例を今御紹介いたしました。これは委員派遣で行ってきた事例であります。しかも、自治体財政が大変だから効率化のために切り出すと言っているわけですから、そこに予算をもっとつぎ込むなんということが正当に考えてもあるわけがないというふうに思うし、きのう、参考人の質疑ではその点の強い疑義が示されたというふうに思うんです。そこに対し、前回の答弁と同じように、労使の関係で決まっていくからわからないという答弁は、余りにも不誠実であり、きのうの参考人質疑を受けたものではないというふうに私は感じているところであります。
 さらに、それを指摘しながら聞きたいというふうに思いますが、では、偽装請負が地方独立行政法人の職員については適用されるのかどうかということについて、確認させていただきたいと思います。
○安田政府参考人 お答えいたします。
 地方独立行政法人が窓口業務を行う場合でありましても、市町村の職員から地方独立行政法人の職員に対して直接指揮命令を行えば、民間事業者の場合と同様に、労働者派遣法上の労働者派遣に該当するということになりますので、民間委託の場合と同様、同法による許可を受けることを想定していない地方独立行政法人の職員に対してこれを行うことはできない、こういうことだと思っております。
○梅村委員 ガバナンス的には、地方独立行政法人は、地方公共団体の責任において組織、運営の適正を確保することが常に可能であるというふうにしながら、一人一人働いている職員については、全く民間と同じで偽装請負が適用されるというのは、私はさらに複雑にするものじゃないかというふうに思うんですね。
 板橋、見せていただきましたが、民間の委託でしたが、いろいろ指揮系統を受ければ偽装請負になるということで、委託業者と直接の自治体職員の中にパーティションがあり、いろいろな書類のやりとりは箱の中に入れる、しかも、附箋をつけるだけでそれは指示したことになるので附箋もつけられない、だからなるべく職場ではしゃべってはいけない、しゃべれない、こういうような職場の実態があるわけで、やはり異様だというふうに思うんですよね。さらに複雑化するものだというふうに思います。
 それでは、経験のないアルバイトやパートの職員にも公的権力の業務はさせるんですか、独立行政法人の職員になった場合に。
○安田政府参考人 お答えいたします。
 独立行政法人でありましても、例えば、特定地方独立行政法人であれば、地方公務員法の任用の規定が適用されますけれども、この枠の中で、現在でございますと臨時、非常勤といった形で任用する。
 また、一般独立行政法人でございますと、地方公務員法の適用はございませんので、さまざまな雇用形態で雇用をするということが可能でございまして、こうした方々が、地方独立行政法人の職員として、この法律に基づいて業務を行うということは可能でございます。
○梅村委員 いや、それだけじゃなくて、今までいらっしゃった窓口業務の職員さんではなくて、新たに雇う場合もあるわけですよね、多分、地方独立行政法人の職員さん。そういう方々にも公的権力の行使の作業をやらせるんですか。何か歯どめはかけるんですか。
○安田政府参考人 お答えいたします。
 御指摘のございました新規に雇用した方々につきましても、一連の業務、行うことは可能でございます。公権力の行使に観念上当たるものも含めてです。これを実施することは可能でございます。
 ただ、あくまで今回の窓口独立行政法人に行っていただく公権力の行使というのは、定型的なものということで、絞りをかけて行っていただくということを予定しているものでございます。
○梅村委員 それは前回の質疑でもさせていただきましたけれども、公権力の行使が非常に小さいものと言いながら、まだそれが何なのかというのはこれから省令で決めていくと。いわゆる戸籍上も法務省とやりとりしていくということで、定かではないわけですよね。大変危険で、不明朗なままさらに複雑化していくやり方というのは、私はやめるべきだというふうに思います。
 直接窓口で一本化をしていくということが一番すっきりしていて、憲法に基づく窓口業務をできるということ、さらに、もし財源がないというならば、国の無駄遣いだとか税金の応能負担の取り方を正してしっかりと財源確保し、その分を地方に回して、地方の自治体が直接、安心して住民サービスを行えるような、そういう施策で打開すべきことを求めまして、質問を終わりたいと思います。

 

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