梅村さえこ-日本共産党党中央委委員・子どもの権利委員会副責任者
国会質問

質問日:2016年 3月 10日 第190国会 総務委員会

日本郵政 正社員化推進せよ 低賃金告発 衆院委で梅村氏

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 日本共産党の梅村さえこ議員は3月10日の衆院総務委員会で、非正規社員が半数(20万人)を占める日本郵政グループの実態を追及し、「未来の郵政事業を担う人たちが正社員になれない現状は打開すべきだ」と正規登用の推進を迫りました。
 梅村氏は、ユニバーサル(全国一律)サービスを担うのはマンパワーだと指摘。郵政産業ユニオンのアンケート(5千人超が回答)で、「生活が苦しい」と答えた非正規労働者は20~40代で各6~8割に及び、「勤続10年以上」は3~4割で、低賃金で「非正規のまま放置されている」と批判しました。
 日本郵政の勝野成治専務執行役は「非正規雇用化で人件費抑制を図ってきたが、サービスや業務面でマイナス影響が出た。内部登用で正社員化を進めたい」と答弁。
梅村氏は、2010年に当時の亀井静香郵政改革担当相が非正規社員10万人の正規登用を示しながら、いまだ2万6千人にとどまっているとして、実現を求めました。
 さらに梅村氏は、平均年収230万円という非正規社員の低賃金の改善も求め、「不合理な労働条件の禁止」などを定めた労働契約法18条、20条の順守を要求。誤配した場合、非正規社員だけが時給を削減される事例も示し、「モチベーションも保てず、均等待遇からもかけ離れている」として抜本的改善を求めました。

【「しんぶん赤旗」2016年3月16日付】

 

ー会議録ー

梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。
 きょうは、郵政事業について質問させていただきます。
 まず、昨年十一月、日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険が株式上場いたしました。高市大臣は、この上場に当たって、ユニバーサルサービスの安定的確保をおっしゃっていますけれども、改めて、ユニバーサルサービスの確保について、大臣の御認識を伺いたいと思います。

高市国務大臣 ユニバーサルサービスの確保については、これは非常に重要なものと考えております。

梅村委員 政府や日本郵政は、株式上場で経営が改善され、活性されていくという利点をこの間強調されております。
 しかし、私たち日本共産党は、そもそもの郵政事業の位置づけや事業に与える影響、とりわけユニバーサルサービスの提供への懸念から、民営化そのものには反対をしてまいりました。
 この間、郵政民営化で郵政事業は分社化され、国民へのサービスの後退や混乱、また利権問題など、さまざまな問題も起こってまいりました。
 こうした事態への国民の懸念の声に押されて、一二年の改正で、日本郵政には、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務等の金融サービスの全国一律の提供義務が法律で規定されたと思います。しかし、この点、ゆうちょ、かんぽの金融二社には法律上義務は課さないなど、大きな欠陥が残ったままだと私たちは考えております。
 それで、二〇一三年までの二十年間で振り返ってみますと、預金取り扱いの金融機関の店舗数は、郵便局以外の金融機関の合計においては一万四千店近く激減していて、全国的には三万二千八十四店になっております。それに対し、郵便局は、この二十年間もほぼ横ばいの二万四千二百十五店となっております。特に、この中で、郵便局しか残っていないという自治体が全国で二十四にまで広がっている。やはり郵便局は、金融機関としてますます、特に地方にとってはなくてはならない存在となっていると思います。
 しかし、この間、上場が進む中で、既に投資家の皆さんの中の議論では、ユニバーサルサービスのために郵便局に支払う委託手数料が高過ぎるとか、重荷だとか、全国一律サービスにメスを入れるべきだという声も出ていると聞いております。そして、最近は、あのマイナス金利やTPPの郵政事業への影響も、国民の中では懸念が広がっているかというふうに思います。
 こういう新しい状況の中で、地域の皆様の暮らしを支えていく上で、やはり郵政事業の全国一律の必要性は一層増していると思いますけれども、この必要性について伺いたいと思います。
    〔委員長退席、原田(憲)委員長代理着席〕

高市国務大臣 簡易な貯蓄や生命保険などの役務を郵便局で一体的かつ全国で公平に利用できるようにする、まず、金融ユニバーサルサービスの確保、これは非常に重要だと考えます。
 金融ユニバーサルサービスは、日本郵政及び日本郵便の責務ということで郵政民営化法に規定されておりますので、まずは両社においてこの責務を果たしていただくことが求められます。
 総務省も、日本郵便株式会社法によって日本郵便から提出されます業務区分別の収支状況、それから日本郵政及び日本郵便の事業計画の認可を通じまして、その取り組み状況や経営状況を監督しまして、金融ユニバーサルサービスの確保が図られるように、これをしっかりと対応してまいります。
 また、郵便局は本当に地方で大切な窓口でございます。また、郵便配達の戸別配達もとても大切なものでございます。全国町村会や地婦連、全国地域婦人団体連絡協議会からも、委員が御指摘のような御意見が出されました。
 郵便局は、いずれの市町村においても一つ以上置くということを基準として設置されて、身近な金融機関として利用者利便が図られています。また、郵便配達についても、全国あまねく戸別配達することが郵便法に規定されています。
 情報通信審議会で、これら関係団体からの御意見も踏まえて、ユニバーサルサービスの確保方策について審議が進められてまいりました。
 昨年九月の審議会の答申では、現状、ユニバーサルサービスについては、日本郵便及び日本郵政の経営努力によってその水準は確保されているということ、審議会が試算したユニバーサルサービスの収支が全体として黒字となっているということも踏まえて、まずは、日本郵政及び日本郵便に対して、収益力の向上やコストの抑制など、さらなる経営努力を求めております。
 一方で、国におきましては、税制の特例措置に取り組むということで、日本郵政及び日本郵便における経営努力の取り組みの進捗状況も適切に確認して、必要に応じて監督指導をしていくということが求められております。
 しっかりと、ユニバーサルサービスの確保に向けて、私たちも頑張ってまいりたいと思っております。

梅村委員 ありがとうございます。
 さて、そのユニバーサルサービスを維持していく上で大変重要になっているのがマンパワーだというふうに思います。この間、マイナンバー、先ほど御質問もありましたけれども、郵便局の配達には大変頑張っていただいて、特に、その中では非正規の皆さんがかなり支えられた部分もあったかというふうに思います。
 それで、皆さんの労働状況なんですけれども、安倍首相は、この間、施政方針演説でも、非正規の雇用の皆さんの均衡待遇を確保していくという問題、また、午前中御質問もありましたけれども、同一労働同一賃金について、五月に策定するニッポン一億総活躍プランに盛り込むと表明されてきております。
 この同一労働同一賃金については、ILOからもう既に政府に八回にわたって勧告が行われている件であり、国際社会では、さらに一歩進めて同一価値労働同一賃金原則を確立してきているところで、やはり日本においても急がれる問題だというふうに思いますし、この問題が従来の均衡処遇にとどまってしまっては大変なごまかしになるかと思います。
 総務大臣が所管する分野でも、労働者の皆さんの雇用の改善などについての御認識を伺いたいというふうに思います。

高市国務大臣 総務省が所管する分野も非常に広うございますけれども、安倍内閣では、これまでも、希望を生み出す強い経済の実現ということを掲げて、政府一体となって取り組みました。徐々に経済の好循環は実現しつつあると思いますし、また、有効求人倍率が上がっておりますから、働く側からすると、やはり売り手市場というんですか、そういう形になってきております。
 ただ、やはり業種によっては、物すごい人手不足なのに、なぜか賃金が上がっていない。本来でしたら、売り手市場になったら、当然好待遇で人が欲しいということになるんですけれども、まだなかなかそうなっていない業種もあるといったことも、実は経済財政諮問会議の中で、今後みんなで検討すべき点として指摘されたと承知をしています。
 私自身、国民の生活に直結する分野を所管する総務大臣として、やはり新たな成長分野における投資や雇用の拡大に大きく貢献してまいりたいですし、それからやはり、それぞれの地方でしっかり仕事をおこしていく、仕事が人を呼ぶ、そして、最終的にはやはり賃金が上がっていく、こういう形をつくっていくために努力を続けたいと思っております。

梅村委員 今大臣からも、最終的には賃金を上げていくということが必要だと御発言もあったかというふうに思います。
 それで、特に、今大臣からもお話がありましたけれども、午前中もありました、総務省が所管する地方公務員や郵政事業については、非正規を大変多く抱える分野になっているかというふうに思います。
 それで、日本郵政の方に今後聞いていきたいと思うんですけれども、非正規について、民営化直後の二〇〇七年は、正社員が二十三・九万人に対して、期間雇用社員が、短期雇用では二十万七千人、四七・六%が非正規だったというふうに思いますけれども、この間、どのように変わってきているのか、御答弁お願いしたいと思います。

勝野参考人 日本郵政の社員数とその割合についてのお尋ねだと思います。
 二〇一五年十月現在におけます日本郵政グループ四社の社員数は全体で四十三万人でございますが、そのうち正社員が二十二万四千人で、割合は五二%、非正規社員は二十万六千人で、割合は四八%となっております。
 ただし、非正規社員は一日の勤務時間数がさまざまでございますので、これを八時間に換算しますと、非正規社員数は十四万三千人となりまして、非正規社員数の割合は三九%となるものでございます。
 以上でございます。
    〔原田(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

梅村委員 換算ということですけれども、皆さんの身分としては、やはり非正規の方が半数になっているということだというふうに思います。
 先日、私、院内で、郵政で働く非正規の皆さんの集会に参加をさせていただきましたけれども、景気がなかなか、好循環にまだまだ地方ではなっていないですし、格差と貧困が広がる中で、大変不安の声が広がっているということをお伺いしました。
 昨年十月から年末にかけて郵政産業ユニオンの皆さんが、非正規の皆さん、何と五千名を超える皆さんからアンケートを集められてきております。その中の声を見ると、本当にこの改善は待ったなしだということがもう明らかだなというふうに私も改めて思いました。
 例えば、休憩時間も仕事をしているのに超勤を減らせと言われる、慢性的な人手不足、隠れブラック企業ではないかという声がアンケートで出されたりだとか、あと、平常時の勤務指定が提示された段階で廃休が指定されていたとか、あと、交通事故や誤配がなくならないのは要員不足が要因だとか、年賀状のノルマが四千あるということで、非正規の方だと四千枚売ろうとするとほぼ一カ月分の給料が吹っ飛んでいってしまうというようなことが、もう本当にたくさん悲鳴が上がってきているのを見ました。
 このような声というのは会社の方でつかんでいらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

勝野参考人 社員の処遇あるいは労働環境等に関する声につきましては、基本的には労働組合との交渉等を通じて把握をしております。
 会社としては、今後とも、いわゆるパートタイム労働法とか労働契約法等の規定を遵守しながら、労働組合との交渉を踏まえつつ、社員の処遇改善に努めていく考えでございます。

梅村委員 私、アンケートを見させていただいて、三つぐらい特徴があるなというふうに思ったんですね。
 一つは、やはり皆さんの生活の苦しさです。非正規の皆さんなんですけれども、会社での収入が家計の主な生活費になっている。例えば、二十代では八一%、三十代では八六%、四十代では七九%。この非正規の皆さんが、家庭の中では主に収入源になっていらっしゃる方がもう七割、八割ということですね。
 生活が苦しいですかという質問については、二十代の方が五七・五%、三十代の人が六八%、四十代の方は八〇%です。四十代というと、ちょうど子供さん、真っ盛り、子育てしていらっしゃる年代だと思うんですけれども、そういう方々が非正規で、しかも生活が苦しいという方が八〇%もいる。その方々がやはり日本の郵政事業、ユニバーサル事業を支えてくださっているというふうに思うと、何とかしなきゃいけないなというふうに私自身も聞いていて思いました。
 あと、二つ目の特徴としては、やはり勤続年数の重大さだと思います。非正規にもかかわらず勤続十年以上の方が、三十代では二八・五、四十代が三九%、五十代が三七%。まさに青年層から壮年期の働き盛りと言われる年代の三割、四割がこの郵政の職場で十年以上働きながらもずっと非正規のままだということは、私は、やはり放置してはならない現状をもっと深刻に受けとめなければいけないんじゃないかなというふうに思いました。
 そして、具体的な不安としては、賃金の問題もあるんですけれども、一番トップが要員不足ということが挙げられています。そして、正社員との格差、営業ノルマ、スキル評価制度、こういうことで続いているんですけれども、特に二十代、三十代の方は、正社員登用をしてほしい、したいのにできない、この不安を多く感じていらっしゃる方が多いということです。二十代、三十代というと、未来の郵政事業を担う方々であり、未来の社会を担う人たちであり、その方々が正社員になりたくてもなれない、こういうふうに思いながら働いているというのは、やはり一刻も早く打開をしていただきたいなというふうに思います。
 それで、質問をさせていただきたいと思うんですけれども、二〇一〇年に、当時、十万人の非正規の正規化について亀井大臣が労働者にお約束をされたというふうに思います。そのときには、やはりユニバーサルサービスをやっていく上では、それを担っている従業員の皆さん自身の暮らしが安定しないとユニバーサルサービスも本当に豊かには提供できないということを大臣が当時おっしゃいましたし、当時の斎藤社長も、環境をつくることが経営者としての私の責務だということで、現場で働いている人たちが仕事に誇りを持って、将来に希望を持って働いていってほしいということで、この正社員化の問題について国会で答弁をしていると思うんですね、二〇一〇年に。
 そういうお考えというのは今も引き継がれ、そういう認識にいらっしゃるのか、その点を確認させていただきたいと思います。

勝野参考人 郵政公社化以降、社員の非正規化によりまして人件費の抑制を図ろうとしてきたわけでございますが、一方で、非正規社員の方々は定着率が低く、あるいは募集とか訓練に相当の労力を要するというようなことがございました。さらには、郵便局の最前線で絶えず新たな非正規社員を多数雇用している、そういう状況の中で、サービスの質とか業務運行面でのマイナスの影響というのも出てきたというのは事実でございます。
 こうした状況に鑑みまして、即戦力となる優秀な非正規社員を正社員に登用していくということで、非正規社員の雇用の安定、労働条件の向上を図り、業務運行やサービスの品質面の強化を図るために、民営化以降、毎年、正社員の内部登用というのを行ってきているところでございます。
 ちなみに、この四月一日にも約三千名の内部登用を行うこととして、今準備をしているところでございます。

梅村委員 その前に、亀井大臣が言われた十万人の非正規から正規への正社員化というもの自身は今もやっていく、やはり国会答弁ですから、そういう御認識なのかどうかを確認させていただきたいんです。

勝野参考人 民営化以降、毎年、正社員登用というのはやってきておりまして、これからも引き続きやっていくということでございます。
 当時の大臣の御発言等はよく承知しておりまして、引き続きそういった取り組みはやっていきたいというふうに考えております。

梅村委員 引き続きやっていきたいということで、亀井大臣だけではなくて、当時の斎藤社長も、やはり働く皆さんの将来に希望が持てるようにということを、ずっと昔じゃなくて、二〇一〇年で六年ぐらい前なんですよね。今働いていらっしゃる方々は、そのときの答弁を聞いて、自分たちもなれるんじゃないかということで多く期待をされていた人たちが今も職場で働いているというふうに思うんです。
 ですから、社長さんがおっしゃったことなので、そういう視点で正社員化を図ろうとしているのか、また現場の皆さんに当たろうとしているのか、その点はやはりしっかりと答えていただきたいなと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○勝野参考人 非正規社員の方々のモチベーションを非常に大事にしていきたいと考えておりますし、処遇の改善も含めまして、内部における正社員登用というのは進めてまいりたいというふうに思っております。

梅村委員 それで、十万人ということだったんですけれども、毎年努力しているということでしたけれども、事前のレクチャーで伺ったところでいえば、この間、そこで正社員化したのは二万六千人というような数字を伺っております。
 ですから、当時の約束との関係で、いろいろな御努力はあるかもしれませんけれども、やはり本来果たすべきユニバーサルサービスを支えるマンパワーをしっかりと安定させていくということでいえば、当時のお約束がまだまだできていない、そういう現状は認識していただいて、ここは全力で御努力をいただきたい。
 そうしないと、やはり現場は大変ないわゆる不満や要求。ですから、今言われたように、なかなか人が確保できない、やってもすぐやめていってしまう、そういうのが続いているわけですから、働く人たちの安定的な身分といいますか、それはやはり待ったなしになっているのではないかなというふうに思います。
 それで、この間の正規と非正規のいわゆる所得ですね、収入、それの比較を御紹介いただきたいなというふうに思います。

勝野参考人 正社員と非正規社員とでは、業務の内容とか責任の程度、転勤の有無、範囲、職務内容や配置の変更の有無、範囲といった人材活用の仕組みや運用に違いがあることに加えまして、一日当たりの勤務時間数、一カ月当たりの勤務日数等々まちまちでございますので、単純に比較するということはなかなか難しゅうございますけれども、例えば、非正規社員を、同じ勤務日数、一日当たり八時間勤務として、二〇一四年度の実績から平均年収を推計いたしますと、正社員の、これは管理職も含みますけれども、平均年収は約六百二十六万円、非正規社員の平均年収は約二百三十一万円というふうになります。

梅村委員 今の数字は四社平均だというふうに思います。資料では、日本郵便、日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命というふうにそれぞれいただいておりますけれども、期間雇用社員、非正規の皆さんは軒並み二百万円台前半なわけですね。
 やはり配達の皆さんは、暑い日もあったり雨が降ったりというときもあり、先ほども御紹介しましたけれども、マイナンバーのときには本当に必死に配るという御努力をしてきたと思います。そういう方々が、二十代、三十代、四十代、働き盛りにもかかわらず、十年近くもずっと二百万円前半で推移している。これはやはり改善に向けては何らかの手を打っていく、非正規から正規への流れをつくっていく、そういうことが待ったなしだということをここで訴えさせていただきたいというふうに思います。
 それで、労働契約法の十八条の問題について、この趣旨を伺いたいと思います。

大西政府参考人 労働契約法第十八条でございます。
 委員御承知のとおり、法律の内容につきましては、有期労働契約が五年を超えて反復更新された場合には、労働者の申し込みにより、期間の定めのない労働契約に転換できるもの、そういう規定でございまして、その趣旨でございます。
 この規定につきましては、有期労働契約は、期間の満了時に当該有期労働契約が更新されずに終了する場合がある一方で、労働契約が反復更新され、長期間にわたり雇用が継続する場合も少なくないため、更新による雇用の継続を希望する有期契約労働者にとっては、雇いどめの不安があることによって、年次有給休暇取得など、労働者としての正当な権利が抑制されるなどの問題があり、こうした有期労働契約の現状を踏まえ、有期労働契約が長期間反復更新された場合について、その濫用的な利用を抑制し、雇用の安定を図るため設けたものでございます。

梅村委員 何年を超えてというような、そういうものはあるんでしょうか。

大西政府参考人 有期労働契約が五年を超えて反復更新された場合でございます。

梅村委員 つまり、法律では、五年を超えて勤務が更新された労働者は、有期雇用から無期雇用へ転換を法律的にも定められているわけですね。
 ですから、こういう法律との関係でも、今前段で私が御紹介したような、十年近くもずっと、六カ月、六カ月、六カ月の更新が続けられているようなことが続けられているというようなのはやはり異常だというふうに思います。
 また、会社の方でも、この点では前倒しをして、いろいろな検討も始められているというふうにも聞いているんですけれども、その点、簡単で結構ですので、ぜひ検討してほしいと思うんですけれども、内容を御紹介いただきたいと思います。

勝野参考人 どのように進めていくのかというお話だと思いますが、労働契約法十八条に基づく無期労働契約への転換につきましては、法律上は、二〇一八年四月から無期転換の申し込みが可能となるということになっております。
 現在、労働組合との交渉中でございますが、無期転換の申込時期を前倒しする方向で考えておりまして、その詳細を検討しているところでございます。

梅村委員 こういう法律改正もありますけれども、前段で何度も言いましたけれども、そもそも国会で大臣も社長さんも非正規から正規へやるんだということを一度は御決断されているわけですから、手を挙げた方からやるというだけではなくて、積極的に、十万人に対してまだ二万何人ですので、ぜひ御奮闘いただけたらというふうに重ねてお願いしたいというふうに思います。
 それで、最後、均等待遇の問題についても質問をさせていただきたいと思います。
 労働契約法二十条についても伺いたいと思います。

大西政府参考人 労働契約法第二十条は、有期契約労働者の労働条件が、期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合、その相違は、職務の内容や配置の変更の範囲等を考慮して、不合理と認められるものであってはならないということを定めたものでございます。
 この規定の趣旨でございますが、有期契約労働者は、無期契約労働者と比較して、雇いどめの不安があることによって合理的な労働条件の決定が行われにくいことや、処遇に対する不満が多く指摘されていることを踏まえ、有期労働契約の労働条件を設定する際のルールを明確化したものでございます。

梅村委員 つまり、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止を規定するのであり、また、この法律が制定された過程で非常に不満が多くあるというような御趣旨も今御説明があったと思います。
 そういう意味では、まさにこの郵政、日本郵便の職場でこそ、これをしっかりと踏まえて、いわゆる均等待遇の改善を図っていくという必要が私はあるんじゃないかなというふうに思います。
 一つは、先ほど言った賃金の格差の問題があるというふうに思います。そして、この賃金の問題でいえば、最低賃金の、やはり張りついているという問題が一つはあるのではないかなというふうに思います。
 この賃金体系そのものについての問題点などがございましたら、御答弁お願いしたいと思います。

勝野参考人 現在、正社員と非正規社員では、労働条件に違いがございます。しかしながら、その違いというのは、業務の内容とそれに伴う責任の程度、転勤の有無とか範囲、職務内容や配置の変更の有無、範囲といった人材活用の仕組みや運用に違いがあることなどから、そういう違いが設定されているものでございまして、このこと自体は労働契約法二十条の趣旨にのっとったものだというふうに考えているところでございます。
 それと同時に、先ほども申し述べさせていただきましたけれども、非正規社員のモチベーションの維持向上等の観点から、正社員への積極的な登用だとかあるいは給与の改善とか、こういったものにはこれまでも取り組んできているところでございまして、これからも、労働組合との交渉を経ながら、そういう改善には取り組んでいくということでございます。
 それから、先ほど御指摘いただきました、時給の設定に当たっても何か問題があるのかということでございますけれども、基本的に、時給制の契約社員の単価設定は、採用時に所属長がその当該地域における募集環境等を考慮して決定するということになっております。結果としまして、法定最賃をかなり上回るような水準になっておるということでございます。
 さらには、採用後も、年二回の人事評価等を踏まえまして、評価結果に応じて半期ごとに昇給が可能となる制度を導入しておりまして、二〇一五年度には、グループ平均で約四十七円の時給単価アップ、月給換算で約七千九百円の改善といったようなことを取り組んできておるところでございます。

梅村委員 働く条件や責任が違うということでありますけれども、先ほどお伺いしたように、非正規の皆さんは、二十代、そして三十代、四十代でも二百万円前半で家計の主な収入を支えていらっしゃるわけですよね。一体、二百万円前半で本当に生活していける賃金なのか、そういうところが問われているというふうに思います。
 それで、その方々は、八時間だとか、そして外勤で働いていらっしゃる方々がそういう賃金になっているわけなので、責任が違うだとかいろいろな条件が違うということで、非正規の皆さんの今の賃金の状況は、やはり、許されるというか、そのままでいいはずはないというふうに思います。
 働いていらっしゃる方の四十代、五十代の皆さんが非正規で二百万円前半で勤めていらっしゃるということ自身については、どのように御感想をお持ちでしょうか。

勝野参考人 労働契約法等の規定の趣旨を十分踏まえながら取り組んでまいりたいと思っております。

梅村委員 会社で働く人たちの毎日の暮らしや家族の生活があってこそ、労働者としてその会社で働けるわけですから、やはりそういったところの拡充を、全力で会社として頑張るという決意のもとで御努力をいただきたいなというふうに思います。
 最低賃金と今の賃金の制度についても、時間の関係で全て触れられませんけれども、正社員にはないペナルティーが非正規にはあって、プラスアルファという部分が、一回失敗をすれば、一回投函のミスをすれば、それで何カ月も十円、二十円と下がってしまう。ですから、やはり皆さんがびくびくしていらっしゃる。しかも、皆さんが言っているのは、正社員にはないペナルティーがどうして非正規にあるのかということも訴えていらっしゃるというふうに思います。
 今お話がありました、なかなか社員数が上がらないところではちょっと時給をアップしてということも今のお話であったと思いますけれども、これは、働いている人たちよりもその人たちの方が一瞬でも高くなってしまうという現象が起こっている。これは千葉の中央郵便局の皆さんから聞いたことですけれども、そういう状況があって、逆に、ずっとプライドを持って、モチベーションを上げて頑張ろうとしている人たちのを下げるような状況になっているということも幾つか聞いております。
 そういう実態があるということは、それでよろしいんでしょうか。

立林参考人 お答えいたします。
 日本郵便の時給制契約社員の時給単価につきましては、従事する業務内容や勤務する時間帯ごとに決定してございまして、それらが同一であれば新規雇用の時給制契約社員と勤続の長い時給制契約社員との間で時給単価の逆転は生じないものでございまして、業務内容等が異なる場合にはそれが逆転することもあり得ると考えてございます。
 また、年末年始期のように、お歳暮や年賀の引き受け、配達等で業務が集中する時期に短期間雇用しているアルバイトにつきましては、短期間で大量採用する必要がございますことから、労働力確保のため、時給単価を高目に設定してございまして、勤続の長い時給制契約社員の時給単価を上回る場合があるものと認識をしてございます。
 以上でございます。

梅村委員 そういう状況が働いている人たちの中での格差だとかモチベーションを下げるということになっておりますので、どうしても人が集まらないのであれば、同じ労働をしているのであれば、その人たちも上げていく。それは、郵便局長さんとか、そういう御判断でもできるというようなことも聞きましたけれども、やはり一緒の職場で働いている人たちが力を合わせて、みんなで協力して働いていく職場環境をやはり賃金の上でも考慮していくべきではないかなということを訴えさせていただきたいと私は思います。
 あと、均等待遇の問題でいいますと、先ほど、夏季や冬季の繁忙期の問題。これは、正社員であればそのかわりの適用があるけれども、非正規の場合は出たかわりはなかなかないだとか、あと、病気の休暇ですけれども、正社員の場合は有給で最高百八十日間あるのに、期間雇用者は無給で、病休であっても十日間のみ。百八十日も正社員は有給であるのに、期間雇用社員が無給で十日しかない、これも余りにも均等待遇からはかけ離れているのではないかなと。
 やはり体あっての仕事ですから、こういうところも私は改善を図っていただきたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

勝野参考人 年休についてお答えさせていただきます。
 正社員の場合は、年休は年に二十日発給をしております。非正規社員の場合は、採用六カ月後に十日発給をさせていただきますけれども、その後、段階的に発給日数がふえてまいりまして、六年六カ月後には正社員と同じ二十日発給という形になっております。
 それから、それ以外にも、特別休暇につきましても、正社員は二十一種類ございますけれども、非正規社員は八種類でございますが、これにつきましても、民営化以降、裁判員としての出頭だとか災害等やむを得ないと考えられる場合の特別休暇、ボランティア休暇を新設するなど、他の民間企業と比べましても相当充実した内容となっているというふうに認識しているところでございます。
 これらにつきましても、引き続き、労働組合との交渉の中で誠意を持って対応していきたいというふうに考えております。

梅村委員 他よりも充実しているというふうにおっしゃいますけれども、現場からはそういうアンケートなどで、実際にはそういう制度があってもとれていない。そして、今お話がありましたように、六年かけてやっと同じになる。やはりそこには均等待遇にはなっていない実情があろうかというふうに思います。
 今、誠意を持って対処していくということをおっしゃっていただきましたので、ぜひそういう立場で頑張っていただくことを最後にお願いして、質問を終わりたいと思います。

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